ワークショップ

国際ワークショップ報告(2月4-5日)

2006年2月4ー5日の2日間、エチオピア・フィールド・ステーション(EFS)とアジスアベバ大学(AAU)の社会科学部社会学人類学科(SOSA)の共催で国際ワークショップが開催されました。このワークショップは、2003年にアジスアベバで開催された国際ワークショップに引き続き、エチオピアでは2回目の開催となります。アジスアベバと南部州のアルバミンチにおいて、約20名の参加者をむかえ、9つの発表と総合討論がおこなわれました。

はじめにEFS代表の重田眞義が、今回のワークショップ開催の経緯や意義についてスピーチをおこない、続いてアジスアベバ大学社会学部長のベケレ・グテマ博士がワークショップのテーマ「文化と開発のポジティブな関係」(Positive relationships between culture and development in East Africa)の意義について基調講演をおこないました。

ゲブレ・インティソ博士(AAU,SOSA)は、アフリカのさまざまな地域における在来知識や既存の組織が開発においてポジティブに作用する可能性に関して報告をおこないました。次に、金子守恵(EFS、COE研究員)が、エチオピア西南部の調査地における土器づくり技術の創造性や革新に関して、19世紀後半から現在にいたるまでの変遷について報告しました。さらに、ディル・テショメ氏(AAU,SOSA)と佐川徹(EFS、院生)は、それぞれの調査地域において、女性が政治的、経済的に積極的な役割を果たすことや、女性を保護する在来組織について報告しました。

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女性を保護する在来組織について発表をおこなうディル・テショメ氏(AAU,SOSA、写真奥左から2番目)

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ディル・テショメ氏の発表に対して質問をおこなう斉藤直樹氏(JICAエチオピア事務所所長、写真右)

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女性が政治的に積極的な役割をになうことについて発表をおこなう佐川徹(EFS、院生、写真奥左から2番目)

伊藤義将(EFS、院生)とモハメド氏(JICA)は、エチオピア西南部のベレテゲラ森林地域における住民と森との関係について報告しました。モハメド氏は、現在取り組んでいる参加型森林保護についての報告をおこないました。森元泰行氏(IPGRI、民族植物学研究員)は、ケニヤのヒョウタンの利用と栽培について報告し、地域内での品種多様性を保持することの重要性について述べました。最後に川瀬慈(EFS、院生)が、エチオピアの音楽職能集団(アズマリ・ラリベロッチ)における隠語の紹介と集団内での役割などについて報告しました。

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伊藤義将(EFS、院生)の発表に対して質問する久田進一郎氏(JICAエチオピア事務所、写真右)。その横は、スカーレット氏(フルブライト学生、写真中央)と岩沢久美子氏(大使館非常勤職員、写真左)。

総合討論では、文化現象や在来知識などが開発の現場においてポジティブに機能するという見解をめぐって、それらが、ポジティブに機能していくプロセスを検証していくことの重要性について議論がおこなわれました。その後、アルバミンチ周辺のコンソにおいて、かれらの在来の集約的な農耕技術を見学し、在来農耕技術のポジティブな側面とそれが開発と積極的に関連していく可能性について議論しました。

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重田眞義(EFS代表、ASAFAS教員、写真右)から、フィールドワーク支援を受け取るUmer Nure氏(AAU,SOSA、院生、写真左)