メ−ルマガジン
 

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 エチオピア・フィールド・ステーションだより(第4号) 
 Ethiopia Field-Station News Letter 
   http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/ 
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             February. 2006[Vol.004] 

            【もくじ】 


 □ フィールドたより:川瀬 慈 
 □ EFS通信 No.4 
  (1)南部州の開発援助  
  (2)新刊の紹介 

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        ■ フィールドだより ■ 
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           「停 電」 

 川瀬 慈・京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程 

エチオピア高原北部の幹線道路沿いにツェダと呼ばれる小さな街 
がある。私は、調査地である農村へ向かう途中や農村での調査に 
疲れたとき、この街を訪れホテルで数日を過ごす。ツェダは終日 
電気がとおっており、早朝から深夜まで人々の話し声や笑い声が 
絶えず聞こえる。農村の人々がランプの灯りを囲みながら静かに 
夜をすごす生活とくらべると、ツェダでの生活はとても明るくて 
にぎやかだ。 

ツェダは、日没からまもない時間にしばしば停電にみまわれた。 
停電のたびに、街の喧騒は一瞬にしてうそのように消える。そん 
なとき私は、ホテルの部屋の窓から身を乗り出し、宵闇のなかで 
ひとときの静けさを楽しむ。ロウソク売りの少年たちだけが「シ 
ャマ(アムハラ語でロウソクの意味)!」と大声をはりあげ、元 
気に路上をかけまわるのが見える。 

少年たちの声がとだえると、やがて家々にぽつりぽつりとロウソ 
クのほのかなあかりがともりはじめる。人々は、ゆっくりとロウ 
ソクのあかりに集まりふたたび話声がきこえはじめる。 

停電から40分ばかりたった頃、やや大げさな人々の歓声ととも 
に、街にぱっと電気が戻る。私はつかの間の宵闇をなつかしみ、 
部屋の電灯を消してみる。しかし、窓の外に広がる街灯と人々の 
ざわめきに侵された闇は、さきほどまでのそれとはまったくこと 
なるのである。 


研究者紹介>川瀬慈 
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/j/research/kawase.html 

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          ■ EFS通信 No.4■ 
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(1)南部州と開発援助 
今年度に入り、エチオピア南部州南オモゾーンにおいて、在エチ 
オピア日本大使館の草の根無償の資金を利用したプロジェクトが 
相次いで3件ほどすすめられています。ひとつは、南オモゾーン 
の中心地であるジンカ周辺地域において、小学校の増築工事およ 
び高校の寄宿舎の建設。ふたつめは、南オモゾーンの低地地域に 
暮らす遊牧民を対象にした小学校の増築、そして3つめは、non- 
formalスクールに通っている子供たちが、formalスクールへ進学 
する支援。これらは、国際NGOが主体になっておこなっているも 
ののほか、この地域で長年人類学的な調査をおこなってきた研究 
者が仲介するかもしくは地元のNGOと協働して実施しているのが 
特徴です。 


(2)新刊の紹介 
『自然をいきる技術』篠原徹著、吉川弘文堂、2005年12月 
この本は、日本、中国、エチオピアなどさまざまな地域で生活を 
営む人びとが技術を介して自然とかかわる姿をえがきだした民俗 
自然誌です。国家政策や現金経済の浸透など社会経済的な側面も 
ふまえながら、人びとと自然とのかかわりを描き出しています。 
そのなかで、エチオピアのコンソの人びとは、不毛な土地で自然 
を改変しながら生活を営んでいる、創意工夫に富んだ農耕技術を 
もつ人びととして紹介されています。 


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          ◇ 編集委員から ◇ 
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エチオピア国際ワークショップが間近にせまってきました。京都 
大学ASAFASやアジスアベバ大学SOSAのスタッフ・院生を中心 
に9つの発表を予定しています。開発援助の文脈において、これ 
まで否定的にとらえられることが多かった慣習的な行為やシステ 
ム、在来の技術といった人びとの実践をいかに肯定的にとらえる 
ことができるのかについて、建設的な議論が展開されることを期 
待しています。(金子守恵・COE研究員) 

ワークショッププログラムは以下のサイトでみることができます。 
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/j/workshop/2006program.html 

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