メ−ルマガジン
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    
     エチオピア・フィールド・ステーションだより      
       Ethiopia Field-Station News Letter    
     http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━              
               Mar. 2007[Vol.015]      
      


            【もくじ】  

    □ フィールドたより:真下希望   
    □ EFS通信 No.15  
      (1)魅力ある大学院イニシアティブ公開シンポジウム終了
      (2)公開講座「瞬間の記録」終了     
      (3)エチオピア研究計画発表会のお知らせ
      (4)国際エチオピア学会最終申込締め切りは5月1日    
    □ コラム:エチオピアからの留学生

-------------------------------------------------------------------------------------
          ■ フィールドたより ■
-------------------------------------------------------------------------------------
           「おかえしに悩む」

      真下希望(アジスアベバ大学・京都文教大学)

「だからね、何で毎回こういうことするの!?」と私の顔をまじまじと
見つめながら、彼女は私が手土産を持って訪ねてきたことを怒っている。

私は去年の8月ころからアジスアベバ大学でアムハラ語の語学研修コー
スを受講している。毎週月曜日は講義がなく、その日一日を私は専業主
婦の友人宅で過ごす。たいてい朝10時頃から夕方18時頃まで、半ば
自分の家の様に彼女の家でくつろぐ私に、その間友人は、朝食にはじま
り、昼食、紅茶・コーヒー、更に夕食まで出してもてなしてくれる。つ
まり彼女の家にいる8時間ほどの間に、私は2時間おきに何かを胃に送
り込んでいるので、私としては、食べ物ではなく別の手土産にしたいと
ころが本音だ。けれどもいつも手頃なものが見つからず、この日も数種
類のケーキを買って行くことにしたのだった。

「もう、毎週こんなことして。ノゾミは学生なんだから、余計な気を使
わないの!!」彼女は、手土産のケーキと2杯目のコーヒーを断った私
に諭し、「わかったの?」と念をおして、2杯目のコーヒーをすする。
ケーキを頬張る彼女の顔をみながら、私は「やっぱり、ケーキにしてよ
かった」と思う。

エチオピアの首都、アディスアベバに住んで7ヶ月。偶然知り合いにな
った彼女の家に招待され、その後毎週のように訪問しては満腹になった
お腹を抱えて自分のアパートに帰るようになって半年が過ぎた。最初の
うちは、手土産ひとつ選ぶのに悩んだ。「ケーキでは大袈裟すぎてかえ
って気を使わせるだろうか」、「しかし、バナナというわけにもいくま
い」。我家から彼女の家へ向かう途中にある果物屋という果物屋で、さ
らにケーキ屋というケーキ屋で立ちどまった。決心がつかず、気付いた
ら彼女の家の前まで来ていて、慌てて近くの果物屋まで戻ったこともあ
ったし、そのまま手ぶらで訪ねたこともあった。

そうしてわかったことがある。たかが手土産、されど手土産だ。手土産
をもらう側も渡す側も、自分と相手の想いの一片を、あるいはもっと別
のなにかをはかっている。

月曜日が来るたびに、私は幼い頃に読んだ絵本を思い出す。「おかえし
のおかえし」といって競って贈り物を選びあう話だ。私は、来週もまた
ケーキ屋か果物屋に、ひょっとするとパン屋によって手土産を選ぶかも
しれない。

>真下希望さんは、文教大学のフィールドワーク実習ではじめてエチオ
ピアを訪れました。昨年からはアジスアベバで語学留学をされています。
彼女は、アムハラ語の勉強を続ける一方で、アジスアベバで靴磨きを生
業とする少年や少女たち(エチオピアでは、リストロとよばれています)
に関心をよせているそうです。

>真下さんが所属している京都文教大学人間学部文化人類学科では、全
学生が2年次にフィールドワーク実習に参加します。詳細については以
下のサイトをご覧ください。
http://www.kbu.ac.jp/kbu/gakubu/jinrui/fieldwork.html

-------------------------------------------------------------------------------------
         ■ EFS通信 No.15 ■
------------------------------------------------------------------------------------
(1)魅力ある大学院イニシアティブ公開シンポジウム終了
2月3日(土)、京大時計台記念館2階国際交流ホールにおいて、京
都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)が取
り組んでいる魅力ある大学院イニシアティブの公開シンポジウム「実
践的地域研究の可能性―若手研究者からの提言」が開催されました。
ASAFASの卒業生や院生を含む、若手研究者からの提言をもとに、
関連分野の研究者を交えて討論をおこないました。EFSの関係者で
は、西真如が座長として、また重田眞義がコメンテーターとして参加
しました。なおこのシンポジウムは、京都大学大学院アジア・アフリ
カ地域研究研究科(ASAFAS)の取り組みである、魅力ある大学
院教育イニシアティブ「臨地教育研究による実践的地域研究者の養成」
プログラムの一環として実施されたものです。
>魅力ある大学院イニシアティブのホームページを以下のサイトでご
覧になることができます。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/miryoku/j/events/symposium.html

(2)公開講座「瞬間の記録」終了
3月14日、京大時計台記念館百周年記念ホールにおいて、『公開講
座「瞬間の記録」未来の映像アーカイブセンターの設立にむけて』が
開催されました。研究者や写真家の方たちが、映像記録の重要性につ
いて講演をおこないました。EFSの関係者では、川瀬慈が「新たな
世代に向けて:世界無形遺産登録のための映像制作」という演題で、
発表しました。
>公開講座「瞬間の記録」の案内については以下のサイトでご覧にな
ることができます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/070314_1.htm

(3)エチオピア研究計画発表会のお知らせ
下記のとおり研究計画発表会をおこないます。エチオピア研究にたず
さわっている京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の院生
・研究員・教員が18年度の研究活動報告と19年度の研究計画をひ
とり15分程度で発表します。外部からコメンテーターをお招きする
予定です。

日 時 :4月2日 13時半〜17時半
場 所 :京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
     共同棟5階セミナー室
発表予定者:ディル・テショメ、宮田寛章、伊藤義将、川瀬慈、
      ベル・アサンテ、佐川徹、西真如、金子守恵、
      シモーネ・タルシタニ、マモ・ヘボ、重田眞義

>発表会のあと、日本学術振興会外国人特別研究員を終えて、エチオピ
アへと帰国するマモ・ヘボさんの送別会をおこないます。マモさんは、
文部省国費留学生として滞在されていた期間をふくめ、合計8年間日本
に滞在されていました。

(4)国際エチオピア学会最終申込締め切りは5月1日
3月19日更新された国際エチオピア学会のホームページによれば、最
終申し込み(ホテル予約など含む)と発表ペーパー・最終要旨の締め切
りは5月1日です。
>国際エチオピア学会ホームページは以下のサイトでご覧になることが
できます。
http://www.svt.ntnu.no/ices2007/index.php?page=home

-------------------------------------------------------------------------------------
            ■ コラム ■
------------------------------------------------------------------------------------
      「エチオピアからの留学生(文部科学省国費留学生)」

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)には
数十名の留学生が5年一貫制博士課程に在籍しています。EFSに関連
するところでは、現在、米国のベル・アサンテさんがエチオピア研究に
たずさわっています。ASAFASのなかでもアフリカ地域研究専攻に
在籍する留学生の大半は文部科学省から奨学金をもらう国費留学生です。
彼らは在外日本大使館で選抜試験をうけて1次試験に合格すると、日本
の大学院で受け入れてくれる教員を探します。受け入れ承諾書を得ては
じめて留学の準備がはじまります。来日した留学生の大半は、半年から
1年間の日本語研修を受講した後に大学院生として研究生活をはじめま
す。19年度からはエチオピアのディル・テショメさんが日本語研修を
終えてASAFASに入学します。そのほか、エチオピアからの国費留
学生として、大阪大学、東京大学にそれぞれ1名ずつ来日の予定です。

-------------------------------------------------------------------------------------
          ◇ 編集委員から ◇
-------------------------------------------------------------------------------------
21COEプログラムは2007年3月31日で終了します。エチオピ
ア・フィールド・ステーションのメールマガジン(エチオピア・フィー
ルド・ステーションだより)は、今後も若手研究者が中心になり、配信
を続けていく予定です。今後もご購読ください。(金子守恵)
-------------------------------------------------------------------------------------
メールマガジンへのご意見・投稿はこちらまで
→Ethiopia_FS@jambo.africa.kyoto-u.ac.jp
-------------------------------------------------------------------------------------
◆このメールは「まぐまぐ」のシステムを利用して配信しています。新
規登録・解約は下記ページにてお願いします。
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/j/magazine.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
エチオピアフィールドステーション・メールマガジンは、21世紀 COEプ
ログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」の活動内容
を中心にエチオピアの地域研究情報を電子メールで配信しています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行: Ethiopia Field Station, 21st Century COE Program    
-世界を先導する総合的地域研究拠点の形成-
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/index.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(c)2007 EFS. All Rights Reserved.