メ−ルマガジン
 

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     エチオピア・フィールドだより      
      Ethiopia News Letter    
  http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/
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               Apr. 2007[Vol.016]      
      

            【もくじ】  

    □ フィールドたより:重田眞義  
    □ EFS通信 No.16  
     (1)EFS特別セミナー
     (2)新刊紹介
      <1>2003年ワークショップ論文集
      <2>『フィールドワーカーのためのアムハラ語入門』
     (3)エチオピア研究計画発表会報告
     (4)5月9日オープンキャンパスのお知らせ

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         ■ フィールドたより ■
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          「エチオピアの魅力」

             重田眞義
 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)

最近はエチオピアを訪れても、到着後すぐにフィールドの村に直行して
いた頃とちがって、アジスアベバで同年代のエチオピア人研究者と話を
する機会がふえてきた。同年代というのは、帝政時代に生まれて幼少の
頃をすごし、社会主義政権のころに高等教育を終えてこの道に職をえた
ひとたちだ。今は、それぞれの分野で要職についている。

少しくつろいだ時間に彼らのライフヒストリーをききながら昔語りをし
ていると、きまってでてくる共通の話題がいくつかあることに気づかさ
れる。そのひとつは近代教育に対する渇望ともいえるほどの強い思いで
ある。そして、もうひとつをあげるとすれば、やや曖昧な言い方だが、
伝統的な価値への畏敬の念とでもいうことができるだろうか。いっけん
相反するように思えるこのふたつの考えは、不惑をかなり過ぎた彼らに
とって、迷ってなんかいられない、なんとか折り合いをつけていかなけ
ればいけない焦眉の重大事のようである。

たとえば、自分たちの子供の教育をどうするか、田舎に暮らす両親の生
活をどのように支えるか、近代と伝統という昔ながらの二元論を云々す
るのではなく、積極的な解決策を求めていかなければならないという今
のエチオピア社会の現実が彼らに迫っている生の問題がこのふたつの話
題に集約されている。しかし、物心ついてから30年足らずの間に3つ
の政治権力の変遷を経験してきた彼らにとって、国家(のイデオロギー
や体制)は「あてにできないもの」の代表のようだ。然らば、何に依れ
ばよいのか。その答えはまだ見つかっていない。

エチオピアの各地でさまざまな関心のもとで研究を続ける私たちが共有
できるのは、おそらく、このような彼らの問題意識の底に流れる生への
希望のようなものかもしれないと思う。そして、そこにエチオピアの魅
力を感じるのである。

「東北部アフリカにおける多元共生社会の構築と地域研究の役割」とい
う総合テーマのもとで3年と5ヶ月にわたって継続してきたエチオピア
・フィールドステーション(EFS)の活動は、21世紀COEプログラ
ムの終了をもってひとくぎりを迎えた。今年度からは「アフリカにおけ
る在来知の生成とポジティブな実践に関する地域研究」というテーマに
発展させていく予定である。エチオピアに魅せられた私たちが、この地
に通い続けることによって、さまざまな人に出会い、そこから学ぶだけ
でなく、関わることを通じて、共に何かを創り出す、そういう場として
EFSが機能していくことを願っている。


>重田眞義さんは、1986年からエチオピアでフィールドワークをつ
づけてこれられました。エチオピア起源の植物エンセーテを中心に研究
活動を展開されています。これに加えて、フィールドの人びとと関わっ
ていく過程で「アジアとアフリカをつなぐ会(AAJE)」というNG
Oを組織し、奨学金プログラムや校舎・寮の建設プロジェクトなどの活
動をすすめています。重田さんの幅広い関心のもと、ASAFASに在
籍してエチオピアをフィールドにしている院生や研究員は、実にさまざ
まなテーマについて調査研究をすすめています。

>重田眞義さんの研究内容等については、以下のサイトでご覧になるこ
とができます
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/africa_division/kyoin/shigeta01.html

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         ■ EFS通信 No.16 ■
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(1)EFS特別セミナー
3月22日、午後1時半から、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研
究研究科(ASAFAS教員)共同棟5階セミナー室において、客員教
員エンダシャウ・ベケレ先生が特別講演をしてくださいました(タイト
ル:”Origin of coffee arabica and Guizotia abyssinica and
significance of their evolution on Human Culture)。コーヒーの
起源に関して、遺伝子レベルによる分析結果を述べた後、人びとのコー
ヒー利用やその歴史との関連性を念頭におきながら、コーヒーのドメス
ティケーションの過程について考察を述べられました。セミナーには、
阪本寧男先生にも参加していただき、コーヒーの起源に関する諸説やコ
ーヒーに近縁の植物に関するDNA解析の現状などに関して議論をおこ
ないました。

(2)新刊紹介
<1>2003年ワークショップ論文集
2003年アジスアベバワークショップの成果論文集が出版されました。
アジスアベバ大学とASAFASの院生による18の論文がおさめられ
ています。ご希望の方は、以下のサイトから論文をダウンロードするこ
とができます。
>ASM,Supplymentary issue,No.29
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/root.htm

<2>『フィールドワーカーのためのアムハラ語入門』
アムハラ語の会話と文法を日本語で解説した初学者向けの教本が発行さ
れました。ASAFASの西真如さんと、仕事や研究などでエチオピア
を訪れる日本人にアムハラ語を教えてきたハラガウォインさん(アジス
アベバ大学言語学研究センター)が執筆されました。全部で9課、大き
な文字とかわいいイラスト入りでとても見やすく勉強をすすめやすい構
成になっています。また、ついついおそろかになりがちなアムハラ文字
を、段階的に少しずつ学ぶことができるようになっています。本書は一
般の書店では取り扱いをしておりませんので、ご希望の方は、以下のメ
ールアドレス宛にお問い合わせください。

>お名前、送付先住所などを明記して以下のアドレスへご連絡ください。
amharic@jafore.org

(3)エチオピア研究計画発表会報告
4月2日(月)13:30から、ASAFAS共同棟5階において今年
度の研究計画発表会がおこなわれました。10名の院生・研究員・教員
がひとり15分で、昨年度の研究報告と今年度の研究調査計画について
発表しました。今回は、大坂大学の峰陽一先生にコメンテーターとして
参加していただきました。

(4)5月9日オープンキャンパスのお知らせ
5月9日、京都大学大学院ASAFASのオープンキャンパスがおこな
われます。ASAFASの教員や在籍する院生と研究テーマや研究生活
などについて話しをすることができます。またアフリカ専攻では、その
日に模擬ゼミをおこない、研究の進め方やゼミでの議論の様子を見学す
ることができます。

>以下のサイトにアクセスして参加フォームに記入のうえオープンキャ
ンパスにご参加ください。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/for_test-takers/opencampus2007.html

>問い合わせは以下のアドレスまで
opencampus2007@asafas.kyoto-u.ac.jp

>ASAFASに在籍してエチオピアで調査をおこなっている院生や研
究員・教員の研究テーマや内容を以下のサイトでご覧になることができ
ます。
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/j/research.html

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          ◇ 編集委員から ◇
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森永製菓からエチオピア産のコーヒー豆(モカ・シダモ)をつかったチ
ョコレート菓子(小枝スティックシリーズ)が販売されています。
"sweets of queen"をテーマにして素材と味わいにこだわって開発され
た3月の新商品だそうです。ちょっぴり苦みのきいたチョコレート味で
なかなかいけます。ただし、食べただけでエチオピアのコーヒー豆をつ
かっているとわかる人は少ないでしょう。期間限定商品ですので、ぜひ
ご賞味下さい。以下のサイトに詳しい情報が掲載されています。(金子)
http://www.morinaga.co.jp/newprod/index.html
http://www.mylifenote.net/002/post_1111.html
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