報告
渡航期間: 2003年10月18日〜2003年11月6日    派遣国: エチオピア、ケニア
  出張目的
  エチオピアにおけるフィールド・ステーション連携国際ワークショップとスタディー・ツアーに参加、およびケニアにおける臨地教育
  太田至 (大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・アフリカ地域研究専攻)

 

  活動記録
  10月18日(土)
  • 関空発 − ナイロビ着
      10月19日(日)
  • ナイロビ発 − アジスアベバ着
      10月20日(月)〜10月31日(金)
  • アジスアベバ大学にて21世紀COEプログラムのワークショップとスタディー・ツアーに参加。
      11月1日(土)
  • アジスアベバ発 − ナイロビ着
      11月1日(土)〜11月5日(水)
  • ナイロビ・フィールド・ステーションにおいて、ステーションの整備と臨地教育に従事
      11月5日(水)〜11月6日(木)
  • ナイロビ発 − 関空着

     

      結果と進捗状況
     
    (1)フィールド・ステーション連携国際ワークショップ
      アジスアベバ大学において開催されたワークショップ「環境と生業をめぐる地域住民のとりくみ」においては、ASAFASの大学院生(アフリカ地域研究専攻12人、東南アジア地域研究専攻4人)が研究成果を報告しただけではなく、アジスアベバ大学の大学院生(6人)も報告をおこない、活発な討論がかわされた。アジアとアフリカ両専攻の学生と教員がおなじホテルに宿泊し、3日間にわたるワークショップにおいて集中的な議論をかわすことができたのは、たいへん有意義であったし、また、日本人がおこなってきた研究に対して、エチオピア人研究者から多様な視点にもとづく批判的な意見がよせられたことも得がたい成果であった。なお、このワークショップと、その後にエチオピア各地で実施されたスタディー・ツアーの詳細は、以下のウェブサイトで紹介されている。http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/j/workshop.html
    (2)ケニアにおける臨地教育とフィールド・ステーションの整備
      ケニアにおいては、ASAFASの大学院生内藤直樹さん(平成10年度入学)が、別資金によって「牧畜民アリアールの複合的な民族アイデンティティの形成」に関する現地調査をおこなっていた。アリアールは、レンディーレとサンブルというふたつの民族の境界域に居住する集団である。レンディーレはアフロ・アジア語族、サンブルはナイル・サハラ語族というまったく系統が異なる言語を話しているが、アリアールは独自の言語をもたず、このふたつの言語を使いわけている。アリアールはまた、このふたつの集団の主要な社会統合原理である出自体系と年齢体系も、部分的に借用し、それを変型して利用しながら生活している。そして、この3つの集団間では通婚がおこなわれている。内藤さんの研究テーマは、この3つの集団間の境界においてどのようにアイデンティティが創出・維持・操作されているのか、そのことを通して地域社会がどのように形成されるのかを明らかにすることである。わたしと同じ時期にナイロビに滞在した田中二郎(ASAFAS教官)とともに、ナイロビ・フィールド・ステーションにおいて内藤さんの調査報告を聞き、今後の調査方針に関する討論をおこなった。
      また、ナイロビ・フィールド・ステーションでは、近々、HPの立ち上げを予定しているが、これを現地でリアルタイムに更新する環境を整えるために、通信環境の整備をおこなった。

     

     
    ナイロビ・フィールド・ステーションの前に立つ孫暁剛さん(ASAFAS大学院生、平成13年度3年次編入学)とサイモンさん(ASAFASの大学院生中村香子さん[平成10年度入学]の現地調査を手伝っている友人)
    [孫暁剛さん撮影]
      一日の放牧を終えてキャンプにもどったヤギ・ヒツジ群。アリアールの若者たちは、ラクダやウシよりも増殖率が高いヤギ・ヒツジの飼育に力点をおき、自己の家畜群を増大しようとしている
    [内藤直樹さん撮影]
     
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