報告
渡航期間: 2003年8月2日〜2003年8月31日    派遣国: インド
  出張目的
  ヒンドゥー教における信仰と修行の現代的動態:アーシュラムにおける「救済」の変容
  田辺明生 (大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア地域研究専攻)

 

  活動記録
 

8月2日(土)

  • 関空発 − カルカッタ着
      8月2日(土)〜30日(土)
  • カルカッタ、ブバネーシュワルおよびプリーで、ヒンドゥー教における信仰と修行の現代的動態に関する資料収集およびフィールドワーク
      8月30日(土)〜31日(日)
  • カルカッタ発 − 関空着

     

      結果と進捗状況
        カルカッタの国立図書館において、プリーの僧院に関する植民地時代の資料を収集した。ブバネーシュワルの州立文書館では、課題に関連する植民地時代の記録を探そうとしたが、残念ながら発見することができなかった。プリーにおいては、アーシュラム(僧院)を訪ねて、ヒンドゥー教における信仰と修行の具体的な実践についてのインタビューを行った。この研究は、インドの僧院で求められている宗教的「救済」の現代的変容を明らかにすることを目的としている。具体的には、グルと呼ばれる霊的指導者、出家修行者、在家修行者、在家信仰者、訪問者などが形成するネットワークに注目し、そこにおいて展開する信仰や修行などの宗教実践を明らかにしようとしている。またそれぞれの人々のライフヒストリーや、アーシュラムに来るに至った経緯、修行や信仰に求めるものなどについてのインテンシブなインタビューを行った。そこにおいては、変容する現代インド社会において新たに形成される関係性や共同性の中で、人々がどのような問題を抱え、宗教にどのような形での救済を求めているのかについて、特に注目している。

     

      今後の課題
        これまでインタビューをいくつか行っているが、それらの事例の分析についてはまだまだこれからである。目指すところは、アーシュラムにおいて人々が提示する悩みとその解決のありかたに注目することにより、今日的状況における現代ヒンドゥー教の新たなる生成の様子を明らかにすることであるが、それには、個々人の宗教実践を宗教史の流れおよび現代政治社会のコンテキストに位置づけていく必要がある。

     

     
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