:: 平成15年度 フィールド・ステーション年次報告
ミャンマー
  (1)フィールド・ステーションの準備:
    安藤和雄(東南アジア研究所教員)が2003年3月2日〜3月8日、大西信弘が2003年2月16日〜3月13日にかけてヤンゴンに出張し、SEAMEO-CHAT(東南アジア教育省組織歴史伝統地域センター)の所長、副所長、担当、顧問と2003年4月から2004年3月までのフィールド・ステーションの整備・運営・活動について、すでに取り交わしている京大東南アジア研究センターとSEAMEO-CHATとのMOU(学術交流協定)などを根拠に協議し合意しました。
 
   
  (2)フィールド・ステーションの整備:
    上記合意内容にもとづき、大西信弘がCOE研究員として、4月25日〜9月25日の間フィールド・ステーションに駐在し事務所整備を行いました。SEAMEO-CHATの3階フロアーの一角に事務所スペースをもうけ、事務用机、デスクトップ型パソコン、ミーティング用机、来客用ソファーなどが設置されています。
デスクトップ型パソコンは、SEAMEO-CHATのLANを経由してインターネットに接続されています。また、国際電話についはSEAMEO-CHATの内線を経由して問題なく交信がはかれるよう整備されています。
 
   
  (3)学生のフィールド・ワークの支援:
    学振特別研究員であるASAFASの中西嘉宏が、SEAMEO-CHATの客員研究員となり、ヤンゴンに設置されたフィールド・ステーション機能を常時活用しています。大学院生では、21世紀COE プログラム資金の支援を受けて鈴木怜治(平成13年度3年次編入学)が、7月20日〜8月3日に、イエジンにある林業大学とASAFASが共同で行なっている科学研究費のプロジェクト「ミャンマー北・東部跨境地域における生態資源利用とその変容」(代表:竹田晋也、ASAFAS教員)と協力して、バゴー山地での焼畑調査に従事しています。大西信弘は、この共同研究を支援するために、バゴー山地周辺に林業大学のカウンターパートとともに雨量計・温湿度計を設置しています。
ヤンゴン・フィールド・ステーションの大きな特徴の一つとして、フィールド・ステーションが成長していくためには、ミャンマー人の研究者・院生がステーションを十分に活用し、文理融合型の総合的地域研究に参加できる機会をつくっていくことを目標としています。そして、この考えに基づきヤンゴン大学大学院博士課程の学生支援プログラムを積極的に実施しています。共同調査地をイラワジ管区マウービン郡に設置し、現在、ヤンゴン大学地理学科(2名)、動物学科(3名)、植物学科(1名)が文理融合を目指した総合的な学際研究に取り組んでいます。
 
   
  (4)共同研究:
    安藤和雄が代表となっている文部科学省科研費「バングラデシュとミャンマーの少数民族における持続的農業と農村開発」による共同研究を、ヤンゴン大学、大学歴史研究所、SEAMEO-CHATと実施してきています。このプロジェクトをフィールド・ステーションの共同研究の一つとして積極的に位置付け、これまでの活動を行なって来ました。ヤンゴン大学地理学科(1名)、動物学科(1名)、植物学科(1名)、大学歴史研究所(2名)からなるカウンターパートたちのチームが核となって、フィールド・ステーションの共同研究活動「ミャンマー社会の多様性とその変容」を牽引していってくれています。
上記のほかに、「日用品・農林水産資源のデータベース作成」を共同研究として実施しています。この関連で、不定期ですがフィールド・ステーションでは大西信弘が中心となり、勉強会を開催しています。またミャンマー地域研究の基本資料となるビルマ地誌を、古本屋経由で収集しています。
ヤンゴン・フィールド・ステーションでは、日本人関係者の共同研究支援を大西信弘が行っています。2003年度前半に行われた共同研究の詳細については、この期間に駐在した大西信弘の個別の活動報告を参照してください。
2003年度後半には、大西信弘は2003年11月3日〜2004年3月16日の間、ステーションに駐在しました。そして、ラカイン州グア郡、イラワジ管区マウービン郡での共同調査には、カウンターパートやヤンゴン大学博士課程院生とともに中心的な役割を担って参加し、また、2004年3月16、17日に開催された21世紀COEプログラム共催のワークショップの準備を行いました。ワークショップにおいても発表しました。安藤和雄は2003年12月8日〜12月24日に出張し、2004年3月16、17日のワークショップのための最終打ち合わせと準備ならびに、ラカイン州での共同調査を行い、マウービン郡にてヤンゴン大学博士課程院生に臨地教育を実施しました。安藤和雄はまた、2004年3月10日〜18日の期間に、そして元ASAFAS助手で現在愛媛大学農学部助教授である百瀬邦泰は3月15日〜17日の期間、ワークショップの準備と発表のために出張しました。ワークショップの内容については、安藤和雄の出張報告を参照してください。このワークショップには、21世紀COEプログラム以外の助成を受けて、山口大学農学部助教授の宇佐見晃一、京大東南アジア研究所教授の松林公蔵も発表者として参加しています。
2004年3月16、17日に開催されたワークショップのタイトルは、Change of Rural Society and Local Agro-ecological Knowledge in Myanmarです。発表者は、ミャンマー人7名、日本人5名でした。ワークショップ参加者は、SEMEAO-CHATスタッフならびにヤンゴン大学教官を中心に、発表者を含んで約50名でした。ミャンマーでは「伝統的なるもの」を研究対象とする分野は、歴史学、文化人類学などの社会科学が一般的ですが、今回のセミナーでは、農学、生態学などからの文理融合の総合的な地域研究手法が有効であることが参加者の共通認識となりました。こうした理解がミャンマー関係者に芽生えたことは意義深く、今後のフィールド・ステーションの活動に弾みをつけてくれるでしょう。
このほかのフィールド・ステーション関連の活動では、竹田晋也が代表となっている文部科学省科研費「ミャンマー北・東部跨境地域における生態資源利用とその変容」のワークショップが、2003年3月4日にヤンゴンにて科研費メンバーと林業大学カウンターパートによって共同開催されています。
 
>> フィールド・ステーション活動状況:平成15年10月現在
>> 平成15年度教員・若手研究者の報告
>> 平成15年度大学院生の報告
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