21世紀COEプログラム研究会
アフリカ地域研究会

日時: 2006年5月18日(木) 15:00〜17:00

場所: 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
(京都市左京区吉田下阿達町46)東棟2階第一セミナー室(207号室)

演題: 狩猟採集民の環境概念

講 師: マティアス・ブレンジンガー博士(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・客員教授)

要 旨: 
  私たちは非西洋社会の言語における不定型な概念構造について学ぶにつれ、グローバルな文化の概念とはかけはなれたこういった慣習的な思考がこれらの言語のもっとも貴重な財産であることを理解するようになる。グローバルな文化の拡散とともに、思考もまた順応させられる。真のオリジナルな概念は、革新に適応するため、あるいは「近代的」でグローバルな概念に従うために変容を被るのである。
  狩猟採集民の言語の根底にある文化や概念は存亡の危機にある。そしてその結果、多くの不定型な概念は早晩失われるであろう。クエは、南部アフリカに住むかっては狩猟採集民であった人々によって話されている中央コイサン言語の1つである。彼らの民族言語は、依然としてコミュニティのほとんどのメンバーにとっての日常的なコミュニケーションの手段となっているが、言語の根底にある真の概念は失われつつある。今日の多くのクエの生活状況は、過去の世代のそれとは根本的に異なる。若いクエの人々の言語使用をみれば、拡張しつつあるグローバルな文化において見いだされる概念とかけはなれたクエの概念の多くは、すでに前者に置きかえられていることが明らかである。
  環境に対する文化特異的な観点が言語の根底にある概念の形成におよぼす重要性は、近年の認知言語科学においてますます認められてきている。本発表では、クエの不定型な概念のうちいくつかについて論じる。すなわち、物理的環境およびその根底にある植物相および動物相を名付けるための原則という2つの領域について検討する。

この研究会は、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と京都大学東南アジア研究所が、2002年度から共同で遂行している21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」の研究活動の一環です。

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