■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ July 2005 第24号 ■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/index_j.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数791】■■
___________今号の目次__________
□津波と地域研究
□暗いニュースが多い7月のナイロビ:ケニア
□フィールド・ステーションの活動:カメルーン
□フィールドワーク報告:タンザニア・ブルキナファソ
□研究会の記録(一部案内)
□編集子より
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■津波と地域研究
..............................足立 明
昨年暮れのスマトラ沖地震による津波は、スリランカの海岸部にも多
くの被害をもたらした。その被災地に、ようやく今年の春になって訪
れることができた。そこで見聞きしたことは、スリランカ各地の開発
現場で起こっていることと同じような出来事の連続であった。
もちろん、被災者の悲惨な現状は比べようもないが、この現場に突然、
何の準備もなく登場する国内外のアクターは、それぞれの目的と思惑
を持って、それぞれのやり方で救援・復興活動を行い、開発現場と同
じようなちぐはぐな状況を生みだしている。
例えば、読めない言語で書かれた薬の山や、窓のない寒地用のテント
村などである。それらは、初めてこの国を訪れた外国人が、慌ててば
らまいていった物資とのことで、「津波のようにやってきて、津波の
ように去っていった」そうである。
今回の津波被害に対しては、多くの救援物資が届き、未だにさばきき
れない状態である。問題は、世界中の関心が薄れていく数年後以降の
問題である。子供や親を失った人々の傷は簡単に癒えるわけではなく、
現場を良く理解した持続的な支援がこれから一層必要となる。
地域研究が、国家を背負ったODAとしての緊急人道支援とどのよう
に違った関わりを作り出していくのかが、今後の大きな課題である。
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■フィールド・ステーションからのたより【ケニア】
..........各フィールド・ステーションに派遣されている
COE研究員からの現地レポートを順次お届けします。
●暗いニュースが多い7月のナイロビ................ 孫 暁剛
ナイロビの7月は一年の中でいちばん寒い時期です。昼間でも気温が
20度にまでしか上がらず、空には雨雲が一日中かかっています。
そんな季節のせいではないでしょうが、今年の7月は暗いニュースが
多いようです。
ご存じのように、ロンドンでは地下鉄と2階建てバスが爆破されまし
た。ナイロビでも聞けるBBCニュースが毎日その報道を続けていま
すが、ケニアではもっとショッキングな事件が起きました。
北ケニアの私の調査地から200kmほど離れた町が武装集団に略奪さ
れ、70人以上の死者が出たというのです。原因は「部族」対立だと
報道されていますが、まだ詳細はよくわかっていません。地元の新聞
では一面トップで事件の経緯や犠牲者の数などを伝えていますが、
BBCのような国際報道ではまだ取り上げていません。ロンドンの地
下鉄よりも多くの犠牲者が出ているのに、アフリカのこととなると、
どうも注目度が低いような気がします。
寒い7月に暗いニュースが流れるナイロビですが、ケニア・フィール
ド・ステーションでは、フィールドワークをおこなう学生や研究者を
サポートするため、様々な準備を整えています。私たちの研究成果に
よって、暗いニュースの多いアフリカに少しでも明るい兆しが見えて
くればと願っています。
みなさまのご訪問を心からお待ちしています。
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ケニアFS概要ページ:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta.html#5
※21世紀COEプログラムでは14の国と地域を対象にフィールド・
ステーションを設置しています。
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/act.html
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■フィールド・ステーションの活動:カメルーン
●現地セミナー報告:
「カメルーン・フィールド・ステーションとWWFの共催ワークショップ」
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/fsws/2005_cameroon/20050216_hattori.html
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■フィールドワーク報告
.........................派遣された院生による現地調査の報告です
●タンザニア:
「タンザニア南部高地における在来農業の展開に関する農業生態学的研究」
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/16_kondo/16_kondo.html
●ブルキナファソ:
「ブルキナファソにおける女性の装いに関する研究」
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/16_endo/16_endo.html
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■研究会の記録..........................4つの問題群に分類しています
○は開催予定 ●は開催済み
●【人間生態問題群】研究会
"Changes in Human Adaptive Strategies in Rural Northeast Thailand"
演 者:Dr. Somluckrat Grandstaff (CSEAS Visiting Research Fellow)
Dr. Terry B. Grandstaff (CSEAS Visiting Researcher)
日 時:2005年7月12日(火)15時00分〜17時00分
場 所:京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
東棟2階第1セミナー室(207号室)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/english/activities/kenkyukai/asia/e20050712/e20050712.html
●【地域研究問題群】研究会
"Contribution of the Co-operative Sector in Socio-economic Development
of Bangladesh"
演 者:Md. Hedayetul Islam Chowdhury
(バングラデシュ地方行政及び農村開発省事務次官:農村開発局担当)
日 時:2005年7月12日(火)10時40分〜12時30分
場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟2階 E207セミナー室
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20050712/20050712.html
●【人間生態問題群】研究会
"Tank Irrigation in South India- What is Next?"
演 者:K.Palanisami, Director (Water Technology Centre, Tamilnadu
Agricultural University, Coimbatore & Invited Research Fellow
Research Institute for Humanity and Nature, Kyoto)
日 時:2005年7月14日(木)10時00分〜12時00分
場 所:京都大学東南アジア研究所 共同棟3階 307講義室
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/english/activities/kenkyukai/asia/e20050714/e20050714.html
○【地域研究問題群】研究会
「比較の中の東南アジア研究」第1回
日 時:2005年7月23(土)15時00分〜18時00分
場 所:京都大学本部構内 工学部4号館4階第1講義室(AA401号室)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20050723/20050723.html
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◆編集子より◆猛暑です。でも、赤道の南側にあるケニアのナイロビは、
1年で一番気温の低い「真冬」になります。雪がふるわけではありませ
んが、朝晩の冷え込みは厳しくてウールのセーターやジャケットが必要
になります。◆大学院における「現代社会の新たなニーズに応えられる
創造性豊かな若手研究者の養成」を目的にした新しい取り組みがはじま
ろうとしています。題して「魅力ある大学院教育イニシアティブ」。津
波の惨状を目の当たりにした私たちが、地域研究を修めたものとしてど
のように「現代社会の新たなニーズ」に応えていけるのか、巻頭言を読
んで改めて考えさせられました。◆皆様のご健康をお祈りします。
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◆アジア・アフリカ地域研究情報マガジンは、京都大学大学院アジア・
アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)と東南アジア研究所(CSEAS)が共同
して推進する21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究
拠点の形成」の活動内容を中心に、アジア・アフリカの地域研究情報
を電子メールで配信しています。
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発行: 21st Century COE Program
-世界を先導する総合的地域研究拠点の形成-
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