■■■■■■■■■■■■■■■■■ September 2005  第26号 ■■■
  アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
  Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
  http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/index_j.html
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___________今号の目次__________
□巻頭言:情報学と地域研究
□フィールド・ステーション便り:バンギ・フィールド・ステーション研究会
□フィールドワーク報告:インドネシア・カメルーン
□執行会議だより:9月号
□メディアライブラリ:エチオピア
□研究会の記録(一部案内)
□編集子より

メールマガジンのバックナンバーは下記からご覧いただけます。
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/mailmag/index.html
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■情報学と地域研究
           ............................柴山 守

「コンピュータ技術は学問となりえると思うかね?」と、フィール
ズ賞を受賞した数理解析研究所・広中平祐教授(1970年当時)
にたずねられた。祇園の小さなスナックで交わした教授とのはじめ
ての会話。約35年も前のことである。情報工学で重箱の隅を突付
いていたものにとって、この<問い>に答えるすべはなかった。当
時、情報技術の5年先を<よむ>ことはできなかったからである。

50年前、米国で約1万8千本の真空管で動く世界初めてのデジタ
ル・コンピュータが誕生した。その約10年後、京都大学に国産第
1号機が導入され、70年代に情報工学の黎明期を迎える。複数コ
ンピュータを繋ぐ技術もおなじころにはじまった。これが今日のイ
ンターネットに発展し、また情報工学にかわって情報学が誕生した。

情報学は、自然・社会・人文諸領域との学際領域でなりたつ。ひと
の生命と健康に関わる分野において、情報学との学際研究の発展は
めざましい。では、社会・人文科学の領域ではどうであろうか。コ
ンピュータ民族学、コンピュータ国文学、情報考古学、歴史情報学、
情報知識学、地理情報学、経営情報学など、従来の学問領域に「情
報」または「コンピュータ」というキーワードが付加されて、独自
の学際領域を創りだそうとしている。

このことは地域研究にとっても例外ではない。GIS(地理情報シ
ステム)やリモートセンシング技術、統計分析などが黎明期から地
域研究を<援用>してきた。私たちが提唱している「地域情報学」
は、この<援用>の手法を展開するのみではない。「地域」のデー
タや情報資源を「空間」に位置づけ、情報技術を駆使して「地域」
を<よみ解く>。そして、ある普遍性や規則性といったものをみい
だす。すなわち、情報学でいう、「データマイニング」(蓄積した
データから、意味のある相関関係やパターンなどを発見すること)
にあたると考えられる。これには、地図づくりや現場でのフィール
ド調査が前提になることはいうまでもない。

今年、東南アジア研究所は創立40周年にあたる。地域研究があら
たな発展・展開を目指す時期に「地域情報学」の展開がはじまった。
情報学と地域研究が同じ40年目を迎えたいま、あらためて広中教
授の<問い>を思いおこしている。
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■フィールド・ステーション便り
 ..........各フィールド・ステーションから
              現地レポートを順次お届けします。

 ●バンギ・フィールド・ステーション研究会.......長津 一史

マレーシアのバンギ・フィールド・ステーション(BFS)ではこれ
までアジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)の大学院生が
中心となって4回にわたってBFS研究会を開催してきました。
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/index_jfs.html

BFS研究会は、主にマレーシアで調査に従事している日本人研究者
を対象としてきました。日本からやってきたマレーシア研究者は、B
FSを活用して調査の打ち合わせをおこなったり、研究会やセミナー
に参加したりします。BFSはこうした日本人研究者に交流の場を提
供してきました。BFSのこのような機能は、出入りするASAFA
Sの大学院生にとっても大いにメリットがあるといえるでしょう。

ひとつは、それが京都で頻繁におこなわれているような異分野混合の
学びあいの場になったことです。現地の研究者との打ち合わせやセミ
ナーは、多くの場合、自分の専門に近い人たちとともにおこなわれま
す。これにたいし、BFS研究会に参加した日本人マレーシア研究者
の研究分野は、生態学から人類学、政治学までさまざまでした。研究
会は、普段は自らの研究課題についてのフィールドワークに専念して
いる大学院生が興味や関心の幅を広げる機会となりました。

ふたつは、それが調査地における研究ネットワークの拡大に結びつい
たことです。BFSに関わる大学院生は、この研究会でさまざまな分
野の日本人研究者と知り合い、その人たちを媒介にして、これまでは
接点のなかった領域のマレーシア人研究者や実務者にネットワークを
広げることになりました。

今後BFSでは、マレーシアのカウンターパートとの合同セミナーも
実施する予定です。BFSに関わる大学院生がこれまでの研究会を通
じて構築してきた研究分野を跨ぐネットワークは、そうした共同研究
を進めていくうえでも大きな意味を持つことになります。

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マレーシアFS概要ページ:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta.html#10

※21世紀COEプログラムでは14の国と地域を対象にフィールド・
ステーションを設置しています。
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/act.html
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■フィールドワーク報告
  .........................派遣された院生による現地調査の報告です

 ●インドネシア:
  「南スラウェシのかたち ―ラ・ガリゴ叙事詩の人類学的研究」
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/16_kusuda/16_kusuda.html

 ●カメルーン :
  「カメルーン東南部の熱帯雨林帯における人間活動と森林生態系との関わり」
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/16_shikata/16_shikata.html
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■執行会議だより
   .........プログラム全体の動きと進捗状況についてお知らせします

 ●2005年9月の執行会議だより
  予算の執行状況、成果出版、バンコク・シンポジウム、最終年度
  シンポジウム、非常勤職員の募集、HPの更新状況、地域研究統
  合情報センターとのリンクなど
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/shikou/200509.html
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■メディアライブラリ
  ..................フィールドワークの現場の雰囲気を映像でお伝えします

 ●エチオピア:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/media/media.html#movie
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■研究会の記録..........................4つの問題群に分類しています
 ○は開催予定 ●は開催済み

 ●【社会文化問題群】研究会
   「バンギ・フィールド・ステーション(マレーシア) 研究会」
  演 者:伊賀司(神戸大学大学院国際協力研究科院生)
      塩崎悠輝(国際イスラーム大学マレーシア大学院生)
  日 時:2005年9月7日(水)15時00分〜18時30分
  場 所:Sudut Wacana, Institute of the Malay World and
      Civilization(ATMA), Universiti Kebangsaan Malaysia(UKM)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/fsws/2005_malaysia/20050907.html

 ●【社会文化問題群】研究会
   「ポル・ポト時代以後のカンボジアにおける農村社会の“再編”:
   トンレサープ湖東岸地域における調査から 」
  演 者:小林知(日本学術振興会特別研究員)
  日 時:2005年9月16日(金)16時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 共同棟3階講義室(307)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20050916/20050916.html

 ●【政治経済問題群】研究会
   「比較の中の東南アジア研究」第2回
  演 者:岡本正明(京都大学)
       村上勇介(国立民族学博物館)
  日 時:2005年9月23日(金)15時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20050923/20050923.html

 ●【地域研究論問題群】研究会
   「アフリカにおける文化と開発:建設的な文化実践にそった開発の
   促進について」
  演 者:ゲブレ・インティソ博士(アジスアベバ大学社会学・社会人類学科・
      学科長/京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・
      客員研究員) 
  日 時:2005年9月26日(月)15時00分〜17時00分
  場 所:京都大学アフリカ地域研究資料センター
      共同棟(新館) 3階共同講義室(307号室)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/africa/20050926_132.html

 ○【政治経済問題群】研究会
   "Can Pulse Improve Myanmar Rural Economy?
   - Changes of Income Distribution in a Green gram Producing Area
     in Lower Myanmar -"
  演 者:岡本郁子(アジア経済研究所)
  日 時:2005年9月29日(木)16時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 共同棟3階講義室(307)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20050929/20050929.html

 ○【社会文化問題群】研究会
   "Conservation of Cultural Heritage in Lao PDR:
    Issues and on-going projects"
  演 者:Thongsa Sayavongkhamdy(CSEAS & Department of Museums
      and Archaeology Ministry of Information and Culture. Lao PDR)
  日 時:2005年10月4日(火)16時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/english/activities/kenkyukai/asia/e20051004/e20051004.html

 ○【社会文化問題群】研究会
   "The Search for 'Development Monks' "
  演 者:Pinit Lapthananon(CSEAS & Social Research Institute,
      Chulalongkorn University, Thailand)
  日 時:2005年10月7日(金)16時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/english/activities/kenkyukai/asia/e20051007/e20051007.html

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◆編集子より◆グローバルとローカルを合わせたグローカルという
表現をご存じでしょうか?地球と地域と人間の共生を目指すわたし
たちの地域研究にとって、地球規模の視野にたつ問題意識と、地域
の生態・社会・文化の深い理解にもとづく研究は不可分のものです。
グローカルな視野に立った共生をテーマに、21世紀COEプログ
ラムの成果を問う京都大学国際シンポジウムがタイのバンコクで
11月にひらかれます。http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kusymp/
◆残暑の厳しかった京都でも朝夕の涼しさがようやく秋を感じさせ
るようになってきました。9月号の発行が遅れてしまいすみません。
次号は紅葉の色づきはじめるころにお届けします(MS)。◆

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◆このメールマガジンへの感想やご質問をお気軽にお寄せください。
 宛先:areainfom@areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp
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◆アジア・アフリカ地域研究情報マガジンは、京都大学大学院アジア・
アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)と東南アジア研究所(CSEAS)が共同
して推進する21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究
拠点の形成」の活動内容を中心に、アジア・アフリカの地域研究情報
を電子メールで配信しています。

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発行: 21st Century COE Program
    -世界を先導する総合的地域研究拠点の形成-
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