■■■■■■■■■■■■■■■■■ October 2005  第27号 ■■■
  アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
  Integrated Area Studies INFOrmation Magazine(IAS-INFOM)
  http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/index_j.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■【発行部数808】■■
___________今号の目次__________
□「楽園の音風景」.................................巻頭言
□ フィールド・ステーション(FS)部門の活動
□□「ボゴール植物標本館」.......................FS便り
□□FSホームページ開設.....カメルーンFS,ナイロビFS
□□若手研究者の活動報告...........................ケニア
□□FS年次報告..................インドネシア,ベトナム,
...........................マレーシア,西アジア,南アジア
□□フィールドワークの報告...............インド,ウガンダ
□ 画像データベース閲覧システム............統合情報化部門
□「地球・地域・人間の共生」.................国際研究集会
□ 研究会の記録(一部案内)
□ 執行会議だより(10月号)
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「楽園の音風景」
           .........................平松 幸三

熱帯林の夜明けは、音がすばらしい。さまざまな動物の声が遠く
近く聞こえ、自然のオーケストラの演奏にやわらかく包まれてい
ることを感じさせてくれる。まさに楽園。

東南アジアの農村もまた、桃源郷かと思わせられることがある。
竹を使って作られた農家の建物を左右に見ながら歩くと、犬が吼
え、鶏が啼く。陶淵明の描く桃源郷の音風景―鶏犬相聞−そのも
のである。なによりも音の聞こえ方がいい。家屋と未舗装の道路
は音の反射が少なく、と言うことは、音をさえぎるものもない。
村の中の音たちが遠く近く聞こえてきて熱帯林の中にいるように
やわらかく、村のオーケストラの演奏に包まれた感じになる。

都会の雑踏にいても音たちに囲まれるが、そのとき私の耳は閉じ
る。雑踏の騒音が私に壁を作らせ、私は自分の世界をその内側に
確保する。

東南アジアの村では逆に、私の耳は開き、聴覚世界の境界が消え
る。自分自身が環境に溶けてこんでしまうような感じがする。お
そらく村人は、はっきりと自覚してはいないだろうが、音を聞く
というよりは、音を介して自らが村の中のできごとにつながって
いるような感じを抱いているのではないだろうか。

桃源郷の音風景とはそんなものにちがいない。
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 ■21世紀COEフィールド・ステーション部門の活動■
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■フィールド・ステーション(FS)便り

「ボゴール植物標本館」 
             .......................小泉 都

ボゴールの中心には、87haもある広大なボゴール植物園があり
ます。この植物園の入り口のひとつのお向かいにある地味な5階
建ての建物。それが、東南アジアの植物研究者なら誰もが知って
いるHerbarium Bogorienseです。インドネシアを中心に東南アジ
ア地域の標本160万点を収蔵する東南アジアの重要な標本館で
す。しかし、先進国の標本館と比べれば設備はそれほどよいもの
ではありません。

たとえば植物分類の基準となるタイプ標本だけは冷房装置のつい
た別室に保管されていますが、他の標本は冷房のない大きな部屋
にあります。私も初めてここを訪れたときには、汗だくになりな
がら標本をみました。でもインドネシアに1年ほど住んだあとで
は無駄に汗もかかなくなり、平気で標本を調べられるようになり
ました。

標本館の窓には網戸がついており、年に一度は全館薫蒸が行われ
ます。しかし開放的な建物なので虫害は防ぎきれず、虫に喰われ
てぼろぼろになる標本もでてきます。それに広かった標本館もど
んどん増える標本でもうすぐスペースがいっぱいになりそうです。

実は、ボゴールに隣接するチビノンという町にJICAの援助を
うけて新しい標本館を建設中で、2007年までに移転する予定
です。しかし、標本館で仕事をする研究者たちには移転に反対す
る人も多かったようです。私も標本館がボゴールにあるほうが何
かと便利なので、気持ちはよく分かりますが、標本館としての機
能を充実させることを考えると移転は現実的な選択でしょう。
ただし、イレモノだけ豪華につくっても仕方ありません。その後
の運営がこれまで以上に重要になると思います。よい標本館がで
きあがることを大いに期待しています。
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インドネシア:ボゴールFS概要ページ:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta.html#7
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■フィールド・ステーション(FS)の新しいホームページが開設されました

 ●カメルーンFSホームページ
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/CameroonFS/wiki.cgi?page=Cameroon+Field+Station

 ●ナイロビFSホームページ
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/nfs/nfstop.html
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■若手研究者の活動報告..........フィールド・ステーションに派遣中

 ●ケニア:ナイロビFS 活動報告 No.1
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/17w_sun/sun.html
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■フィールド・ステーション年次報告(平成16年度)

 ●インドネシア(ボゴール):
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fstainfo/2004/bogor/2004bogor.html

 ●インドネシア(マカッサル):
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fstainfo/2004/makassar/2004makassar.html

 ●ベトナム:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fstainfo/2004/vietnam/2004vietnam.html

 ●マレーシア:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fstainfo/2004/malaysia/2004malaysia.html

 ●西アジア:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fstainfo/2004/westasia/2004westasia.html

 ●南アジア:
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fstainfo/2004/southasia/2004southasia.html
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■フィールドワーク報告..................派遣された院生による現地調査の報告

 ●インド:南インド・コヤ族地域において低投入型農業を維持・導入する
      ための営農体系研究
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/16_tsunashima/16_tsunashima.html

 ●ウガンダ:東アフリカ牧畜社会における家畜の体色と色彩認識に関する
       人類学的研究
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/fsta/16_hazama/16_hazama.html

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 ■統合情報化部門の活動:ネットワーク構築プロジェクト■
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 ●地域研究画像データベース閲覧システム
    アジア・アフリカ各地の地域研究情報を画像に載せて紹介します
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/pdb/

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■第7回京都大学国際シンポジウム
「地球・地域・人間の共生 -フィールド・サイエンスの地平から-」
     2005年11月23日(水)〜24日(木)

京都大学は、国際交流事業として、2001年から海外で国際
シンポジウムを開催してきました。今年はASAFASが主催
部局となって、バンコクのナイラート・パーク・ホテルで「地
球・地域・人間の共生―フィールド・サイエンスの地平から―」
と題するシンポジウムを11月23日と24日に行うこととな
りました。

このシンポジウムは京都大学が開催するものですが、「地球・
地域・人間の共生」というタイトルは、われわれのCOEプロ
グラムのタイトルそのもので、このCOEの成果も報告するよ
うに計画されています。

シンポジウムでは、津波とその影響、保健衛生や高齢化問題、
人間と自然の共生などを討議します。特別講演を石井米雄先生
とニティ先生にお願いしています。お二人の講演は、地域研究
の今後を見据える上で有意義なものになると期待されます。

詳しくは、下記のURLをご参照ください。
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kusymp/
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■研究会の記録..........................4つの問題群に分類しています
 ○は開催予定 ●は開催済み

 ●【社会文化問題群】研究会
   "Conservation of Cultural Heritage in Lao PDR:
   Issues and on-going projects"
  演 者:Thongsa Sayavongkhamdy(CSEAS & Department of Museums
      and Archaeology Ministry of Information and Culture. Lao PDR)
  日 時:2005年10月4日(火)16時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/english/activities/kenkyukai/asia/e20051004/e20051004.html

 ●【社会文化問題群】研究会
    "The Search for 'Development Monks' "
  演 者:Pinit Lapthananon(CSEAS & Social Research Institute,
      Chulalongkorn University, Thailand)
  日 時:2005年10月7日(金)16時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/english/activities/kenkyukai/asia/e20051007/e20051007.html

 ●【人間生態問題群】研究会
   「完新世(1万年前−現在)におけるナミビアの気候変遷:
        地質的資料に基づくレビュー」
  演 者:クラウス・ハイネ博士(レーゲンスブルク大学地理学科教授/
            京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・客員研究員)  
  日 時:2005年10月20日(木)15時00分〜17時00分
  場 所:京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
      (京都市左京区吉田下阿達町46)東棟2階第一セミナー室
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/africa/20051020_133.html

 ●【地域研究論問題群】研究会
    「比較の中の東南アジア研究」第3回
  演 者:黒崎卓(一橋大学経済研究所)  
  日 時:2005年10月22日(土)15時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20051022/20051022.html

 ○【政治経済問題群】研究会
   「東南アジアにおける党、政治、国家」
  日 時:2005年11月3日(木)13時00分〜18時00分
  場 所:京都大学東南アジア研究所 東棟階会議室(E207)
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/asia/20051103/20051103.html

 ○【人間生態問題群】研究会
    アフリカ農業における「害虫防除」と「作物保護」
  演 者: 足達太郎(東京農業大学国際食料情報学部講師)
  日 時:2005年11月17日(木)15時00分〜17時00分
  場 所:京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
      (京都市左京区吉田下阿達町46)東棟2階第一セミナー室
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/activities/kenkyukai/africa/20051117_134.html
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■執行会議だより
   .........プログラム全体の動きと進捗状況についてお知らせします

 ●2005年10月の執行会議だより
  大学院生ワークショップの成果出版、バンコク・シンポの準備状況、
  最終年度国際シンポの具体的計画案、平成17年度後期FS派遣院
  生の決定、南アジアFS代表者の交替
http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/shikou/200510.html
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◆編集子より◆最後まで目を通して頂きありがとうございました。◆
エチオピアに続いて、カメルーンとナイロビ(ケニア)のフィールド・
ステーションのホームページが開設されました。各ステーションでの
活動を直接発信しています。是非一度ご覧ください。
NFS: http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/nfs/nfstop.html
CFS:
http://jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/CameroonFS/wiki.cgi?page=Cameroon+Field+Station
EFS: http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/index.html(MS)◆
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 宛先:areainfom@areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp
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◆アジア・アフリカ地域研究情報マガジンは、京都大学大学院アジア・
アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)と東南アジア研究所(CSEAS)が共同
して推進する21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究
拠点の形成」の活動内容を中心に、アジア・アフリカの地域研究情報
を電子メールで配信しています。

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発行: 21st Century COE Program
    -世界を先導する総合的地域研究拠点の形成-
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