2004年
5月号

  一年で一番過ごしやすい季節となりましたが、そうした季節とは関係なく、平成14年度採択の21世紀COEプログラムの中間評価ヒアリング――リーダーにいわせれば、自分の人生で最後の経験であって欲しい口頭試問――が、日本学術振興会本部でありました。京都大学の11プログラムについては、5月10日から19日にかけて断続的に行われ、わたしたちのプログラムのヒアリングは5月18日の午後でした。今月の執行会議における冒頭報告は、このヒアリングについてです。

  リーダー、プログラム事務局長、東南アジア研究所長は、4月の執行会議の議論を受け、3つのタイプの資料を携えてヒアリングに臨んだということです。すなわち、プログラムの進捗状況を説明する報告目次、この目次に沿った説明のなかで参照する追加資料(計13種)、そして、学振から提出要求があった3項目の別添資料です。説明ののち質疑がありましたが、内容的には「日本で地域研究を行なう現在的意味」「文理融合の具体例」「地域間比較の意味」などプログラムの核心に触れるもので、リーダーの個人的感想としては、プログラムの順調な進捗状況をアピールできたのではないかということです。ヒアリングの最終結果は、10月中旬に知らされる予定です。

  わたしたちのプログラムでは、今年度設置予定の地域研究統合情報化センターの活動を先取りする形で、情報発信の媒体としてのウェブサイトを最重視しています。ヒアリングのために用意した資料によると、これまでのホームページの更新状況や閲覧頻度の一覧は下のようです。

  HP内容更新数    
  和文 英文 HP閲覧数 RMKS
2003年3月 2 2    
2003年4月 0 1    
2003年5月 4 3 221  
2003年6月 3 3 801  
2003年7月 3 5 970  
2003年8月 1 3 662  
2003年9月 2 2 787  
2003年10月 3 3 1864 ←メルマガ創刊
2003年11月 4 4 2008  
2003年12月 10 3 2370  
2004年1月 14 7 3224  
2004年2月 11 6 2979  
2004年3月 12 9 3343  
2004年4月 10 10 3615  
2004年5月 9 7 2569 ←5/25 現在
合計 88 68 25413  

  閲覧頻度がメルマガの創刊後飛躍的に伸びていること、また昨年12月より更新回数が増えていることがわかります。後者については、ホームページ担当者の業務が過重になってきていることを意味しますが、今月からホームページ作業のために事務補佐の人がもう一名あらたに加わり、執行会議で新任者の紹介がありました。新メンバーを加えた体制のもとで、今後ともにホームページの充実化を図っていくことになります。当面の新たな目標は、現在666であるメルマガの購読者数を増やすこと、そして音(すでに着手)と動画をホームページに導入することです。参考のためですが、最近のHP充実化の一環としては、日本語版トップページ左側目次を再構成し、さらにサイト内検索を導入しています。目次の再構成は、英語版についても近日中に行なう予定です。

  ヒアリングのために用意したその他の資料の一部は、ホームページで順次公開される予定であることも報告されました。たとえば、平成14年度〜16年度の院生の業績(発表予定の公表論文、口頭発表を含む)や教員の科研費プロジェクトの実績です。同じくその他資料との関係では、成果等推進部会長から最終年度開催予定の国際シンポジウムについての概要説明がありました。テーマ案としては、プログラムの2本柱であるフィールド・ステーションと地域研究統合情報化センターを中心に据えて「総合的地域研究の最前線――臨地研究・教育の拠点形成と国際的ネットワークの発展」(New Frontiers of Integrated Area Studies: Field Stations for Dynamic Research and Graduate Education, and Expansion of International Networks)とし、海外からの招待者を含めて200人程度の規模を考える、2006年11月中旬に京都で開催する、といった内容です。いささか気の早い話ですが、会場や日程、レセプションの場所も話題となりました。なお、成果等推進部会からは、国内外における研究集会開催・参加を促進するための予算にたいして、これまでどのような申請があり、今後の対応をどのようにするかについても報告がありました。

  報告事項でもうひとつ重要なのが、事務局ならびにネットワーク部会における役割分担についてでした。両者ともに、事務補佐の人の作業分担にかかわるものです。プログラムも3年度目に入り、事務局やホームページ関係の作業内容が明確に把握できるようになったところで、これまでやや「丼勘定」的であった役割分担を、もう少し明確にしようということです。今後は、プログラム参加者のあいだでこの役割分担が周知され、なにを誰に頼むかが分担表どおりに実行されるよう、「行政指導」が必要となります。ネットワーク部会からは、このほかにも、近くサイボウズ社のグループウェア「Share360」が導入されるとの報告がありました。ユーザのグループごとに電子会議室、掲示板、ファイル管理等が運用可能で、各種の研究グループの情報交換、資料集積に役立つものだとのことです。

  昨年度末に、英語版HPの企画等を中心的に担っていた人が他大学に転出しましたが、今後この仕事の分担をどのようにするかをめぐって、広報部会長から現状報告と今後の対応方についての問題提議がありました。当面、一部の人への負担のしわ寄せが避けられない状況ですが、夏以降、この問題について再検討することになりました。

  西アジアFS(以前のカイロFS)からの報告として、アラビア語の雑誌の目録(シリーズ第1巻にあたる湾岸諸国編)が21世紀COEの成果として出版されたとの披露がありました。アラビア語を読めない人には猫に小判ですが、これまで類書がなかったそうで、研究者のあいだで大いに重宝されるだろう、とのことです。ハードカバーの目録はレバノンで印刷(刊行は、21世紀COEです)されたものですが、こうした「縁の下の力持ち」的な成果も、地域研究統合情報化センターにかかわる成果の一部として、今後ともに支援していきたいものです。

  新年度が始まって一カ月半。独法化のもとでの財務会計システムが始動するわけですが、21世紀COEプログラム予算が、この新システムのもとでどのように位置づけられ、どのように執行されるかについてはいまだ不明な部分が多い状況です。今月の会議でも図書部会から今年度の予算配分方針が報告されましたが、予算執行方法については、来月の会議までに大学本部と検討・確認するという報告にとどまりました。なにごとも新しいことが始まり、定着するまでには時間がかかるようです。わたしたちのプログラムも、当初は試行錯誤がありましたが、2年度を終え、事務局・ネットワーク部会の役割分担の決定に代表されるように、だいぶ形ができてきました。これからの活動がどのように進行していくのか、楽しみなことです。(文責=加藤)

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