2005年
3月号

  3月の執行会議が定例の週・曜日と異なり、第2週水曜日の9日に開催されました。この会議が、これまで拠点リーダーを務め、この「執行会議だより」を中心的にまとめてきましたわたし、加藤の最後の会議となります。

  今月の冒頭の報告事項は、年度末ということもあり、予算の執行状況についての最終確認でした。各部門・部会ともに、年度内に執行終了予定であることが再確認されました。予算といえば、審議事項のなかで来年度予算(案)が承認されました。平成14年度に採択されたプログラムの平成17年度予算については、直接経費と間接経費(直接経費の10%)に分けて交付内定が通知されています。教科書的にいえば、前者はプログラムの実質的な内容にかかわる予算、後者は事務的人件費などのオーバーヘッドや実験施設稼動用の光熱費など、プログラムの運営にかかわる予算という位置づけです。

  わたしたちのプログラムの交付内定における直接経費は9,800万円、間接経費は980万円です。来年度の申請額は16,400万円でしたから、直接経費だけをとると充足率は59.8%、間接経費を含めても65.7%の交付です。間接経費は各拠点に下ろされるのか、それとも大学本部で一括管理されるのかはいまだ不明で、わたしたちのプログラムの来年度予算(案)は、暫定的に間接経費の半分が各拠点に下ろされるとの仮定のもとで編成されました。これでも申請予算にたいする充足率は62.7%、これまでで最低の率です。したがって、各部門、部会レベルで、来年度の予算(案)作りにいかほど苦労したかがわかると思います。苦しいときほど、執行会議メンバーの意思の疎通の良否が試されます。わたしたちのそれが「良」であることは、予算(案)をめぐって目立った紛糾がなかったことからも知ることができます。

  今月の報告事項の中にプログラムとして非常に嬉しい報告がありました。昨年10月末に開催された大学院生ワークショップ「フィールドワークから紡ぎだす―発見と分析のプロセス―」の成果を基に、フィールドワークに関する本が出版されるというニュースです。ワークショップの責任者であり、この件についてNTT出版と交渉を続けてきた柳澤雅之助手(東南アジア研究所)から報告がありました。柳澤助手と大学院生3人から構成される編集委員会が実質的な編集作業を担当し、ASAFAS・CSEAS編という形で今年の11月出版を目指して活動をすでに開始しているということです。昨年のワークショップの副産物として、若い人たちにフィールドワークについての知的刺激と行動する力を与えるような、そうした本ができればよいが、と期待しています。

  来年バンコクで開催される国際シンポジウムについても報告がありました。4月に本部国際協力課事務員を含むワーキング・グループを立ち上げ、京大側の予算状況を勘案しつつ、より具体的な案を練っていくということです。このシンポジウムと平行して、院生主体のポスター・セッション、ミャンマー/ラオスに分かれてのスタディ・ツアーも計画されており、その概要についても4月に開示予定とのことです。ASAFAS・CSEASの院生・若手研究員の積極的な応募を期待しています。

  広報部会からは、2003年3月にプログラム・ホームページが立ち上げられてからの約2年間について、月別・時間別・国別等によるアクセス状況にかかわるデータが報告されました。この資料は、リーダーの退任に合わせて広報部会ならびにホームページ担当事務補佐の人からのプレゼントだそうで、リーダーとしてはとても感激しました。カウンターを付けてからこれまでに約5万件のアクセスがあり、国の数でいえば40カ国以上に上り、この国際性はアクセス時間のピークのひとつが午前4時であることからも想像できます。アクセスする人のドメイン名を集計すると、学術教育機関だけでなくマスコミなどのものも含まれており、多岐にわたります。ホームページはプログラムの命ですから、こうした資料は、ホームページのさらなる充実化に大いに役立つことでしょう。

  審議事項としては、退職によりわたしを含む2人のメンバーがプログラムから抜けるため、4月からの新執行体制として、新たに3人の事業推進担当者を追加することが認められました。また、重要な決定事項に、フィールド・ステーションのアフリカ部会における3人の平成17年度21世紀COE研究員の採用と、平成17年度のフィールド・ステーション派遣学生の決定があります。COE研究員については1月26日から2月末までHP上で公募し、その結果としてタンザニアFS(4/1〜3/31)、エチオピアFS(10/1〜3/31)、ケニアFS(4/1〜3/31)での採用決定が承認されました。FSへの学生派遣は、アジア部会が18名、アフリカ部会が8名です。アジア部会は人数が多いことから、各自にかなりの減額を強いざるをえませんでした。

  わたしにとって最後の執行会議ですので、会議の最後のあいさつのなかで、プログラムの今後の課題についていくつか触れました。中間評価で検討点として指摘されたもののうち、地域間比較については、この執行会議で地域間比較プロジェクト作業部会が立ち上げられたように、フィールド・ステーション部門を中心に具体的な取り組みがなされています。残るのは、文理融合ならびにフィールドワークのあり方(たとえばFSを活用した新しいフィールドワーク手法)について、今後どのように具体的な成果をアピールしていくかです。また、プログラム最終年度の平成18年度に京都で開催予定の国際シンポジウムのテーマと執行体制、21世紀COEプログラム終了後の新たな大学院教育支援プログラム等への応募など、課題は多く残されています。ジェット機の操作と異なり、明らかに離陸よりは着陸の方がはるかに苦労が多そうです。4月からは、市川光雄リーダー、杉島敬志事務局長のもとでプログラムは継続運航されます。お2人をはじめプログラム・メンバーのみなさん、ご苦労様ですが、よろしくお願いします。

  さて、わたしが「執行会議だより」を記すのもこれが最後となりました。これまでプログラムの執行体制を支えてくれました教員、事務補佐の人たち、事務職員、院生たちに篤くお礼を申し上げます。みなさんの協力なくしては、この3年間、リーダーの任を務めることはできませんでした。また、ホームページやメルマガを愛読していただいたプログラム内外の方々にも感謝します。今後ともに、このプログラムへのご協力、ご支援をよろしくお願いします。

  メルマガの3月号にも書きましたが、さよなら、そしてホームページで再見(ツァイチェン)!(文責=加藤)

「執行会議だより」 バックナンバー