2006年
11月号

  京都シンポジウムの高揚と興奮がようやくおさまり、シンポジウム運営の重責を終えた学生や若手研究者、執行会議のメンバーがぞくぞくと海外のフィールド調査に向かうなか、第43回の執行会議が開催されました。まず、10月に申請した予算の追加申請については、当初予算の3%が追加されることになったことが報告され、これと交付済み予算の残額分を合わせて、主に研究教育活動の成果出版と図書整理予算の増額などに充てることが承認されました。

  つぎに大学側から求められていた本プログラムの外部評価の結果についての報告がありました。10月中旬に5名の外国人研究者及び4名の日本人研究者に外部評価委員を依頼し、これまでにそのうちの7名から評価報告が届きました。いずれも本プログラムに対して高い評価を与えていただいておりますが、とくに本プログラムがフィールドワークを重視している点について、これを「ポストコロニアル批判に応えるもの」(Prof. James Fairhead, University of Sussex)とか、「人文・社会科学の新たな展開に寄与する可能性をもつもの」(内堀基光放送大学教授)として、高い評価を与えていただいた点が印象的でした。これは、われわれがとってきた路線が評価されたことと受け取ってよいと思います。また、アジアとアフリカの両方を視野に入れた地域研究・教育を進めている点については、とくにアジア地域研究を専門にしている外国人評価委員からきわめて肯定的な評価をいただきました。今回の外部評価結果を踏まえて、次期のグローバルCOEをどのように展開していくかが今後の課題となるはずです。

  11月9日から13日までの間に開催された京都シンポジウムについては、高田助手から参加者の合計約350名に達するほどの盛会であったこと、また、経費的にもおおむね当初予算の範囲内でおさまったことなどの報告がありました。これだけの規模と内容のシンポジウムを、その企画から会議の運営、プロシーディングスの編集、ポスターの作成、そしてロジスティックの問題に至るまで、若手研究者及び大学院生が教員の助言をうけつつ主体的に運営したことは、人材育成を掲げる本プログラムの大きな成果と位置づけてよいと思います。シンポジウムに参加した先生方も、この点を高く評価していたそうです。また、合計8つのサテライトワークショップもおおむね好評で、いくつかのものについては、これも大学院生の主導で、すでにその成果の出版計画(英文)が具体的に進行中です。なかには、「地域研究における映像的な知の探求」(Expanding the Horizon of Area Studies through Film Presentation)のセッションのようにワークショップ開催に間に合うように論文集の出版を終えたところもあります。「見る、撮る、魅せるアジア・アフリカ!映像人類学の新地平」と題するこの書物は、執筆者が撮影・編集した映像のDVDがついていて、これからの地域研究の手法とその成果発表のひとつの形を示すものとして本プログラムの貴重な成果となることでしょう。

  広報部会からは、ウェブサイトのアップデートの状況、及びアクセス状況の説明がありました。また、年度末に予定しているHPのコンテンツをDVD化する計画と、そのDVDを入れるケースのデザインが披露されました。われわれのウェブサイトは、拠点の活動を伝える重要な場であるとともに、マルチメディアの時代にふさわしい内容を備えたものとして本プログラムの成果のひとつでもあります。この貴重な記録と経験を是非ともDVDの形で残しておきたいと思います。

  議題ではまず、来年3月初めに、日本学術会議が中心になって企画している「地域研究」関係の21世紀COEプログラムに関する報告会への参加について諮られました。できるだけ多くの参加を得たいという学術会議からの要望に応えて、本拠点からは7,8名が参加することになり、そのための旅費が確保されることになりました。

  最後に、年度末に予定しているプログラムの最終報告書の内容と執筆分担について諮られました。2月末の印刷原稿完成、3月中の出版を目指して、各部門、部会の責任者に対する執筆依頼を早急にすることになりました。4年余りにわたってつづけてきたわれわれのプログラムも残すところあと4ヵ月になりました。残された期間はわずかですが、さまざまな形で成果がまとめられるこれからがプログラムの正念場といえるでしょう。(文責=市川)

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