メ−ルマガジン
 

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     エチオピア・フィールド・ステーションだより      
       Ethiopia Field-Station News Letter    
     http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/
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               Oct. 2006[Vol.012]             


            【もくじ】  

     □ フィールドたより:村上愛子  
     □ コラム:フー太郎の森基金
     □ EFS通信 No.12  
     (1) 研究会の報告 
     (2) 日本ナイル・エチオピア学会参加・発表申し込み
        (締め切り:11月3日)  

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        ■ フィールドたより ■
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       「エチオピア、日々の生活から」
      

            村上 愛子 

私が「フー太郎の森基金」の駐在員として2年3ヶ月滞在したのは、エ
チオピア聖教会の聖地の一つであり、世界遺産にもなっている小さな田
舎の村、ラリベラ。小さな村なのでだれもが村に暮らしている人を知っ
ている。村の多くの家にはテレビや電話はなく、近隣に暮らす人同士が
互いに助け合って生きている静かで平和な場所だった。

ラリベラでは、目上の人を敬い大切にする文化がまだ強く残っている。
人びとは挨拶することをとても大切にしていて、それにかける時間も長
い。出会った人と挨拶をするのに時間がかかって、待ち合わせに遅刻し
そうになることもめずらしくはない。

一方、仕事で関わった政府の人たちはプライドが高く頑固一徹な態度の
人が多く驚いた。ひとつの事をおこなうのに何度も足を運んでやっと承
諾がでるという大変さがあったが、覚えたばかりのアムハラ語を使って
私たちのプロジェクトの意図を説明し、(時にはこみあげてくる怒りを
抑えながら)相手の意見を尊重し対話をつづけると、人びとは私たちの
活動に徐々に協力してくれるようになった。

エチオピアの人びとは、相手の気持ちをくみ人とのつながりを大切にし
ている。だから日本の演歌の良さもわかるのだろうか?(エチオピア人
のあいだでは日本の演歌に人気があり、首都ではよく耳にします)わた
しは日々の生活や仕事を通じて、エチオピアの人は人を大切にし、そし
て人から大切にされるからこそ自分に自信をもつことができると感じた。
そして、シンプルだけどとても大切なことを、私もエチオピアで経験さ
せてもらった。

もうひとつ、心に残ったことがある。エチオピア人の友人は、わたしと
散歩をするたびに「愛子、散歩はね、ゆっくりゆっくり歩くものだよ」
と諭すように言ってくれた。この言葉を日本にいても忘れずにいたいと
思う。


>村上愛子さんのラリベラでの生活日誌は以下のサイトでご覧になるこ
とができます。エチオピアで仕事しながら直面してきたさまざまな出来
事についてつづっています。
http://bb.soma.or.jp/~futaro/f06aiko/aiko_index.html

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          ■ コラム ■
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       「フー太郎の森基金とラリベラ」

フー太郎の森基金は、1999年に発足した特定非営利活動法人です。
フー太郎というのは、基金理事長の新妻香織さんが、1994年にエチ
オピアを旅したときに出会ったフクロウの子どものことです。新妻さん
は、巣穴のある木を切り倒され母鳥とはぐれていたフー太郎を森にかえ
そうと、エチオピア北部の乾いた大地を歩きまわったそうですが、見渡
す限り木はほとんどなく、このときの出来事が活動をはじめるきっかけ
となったそうです。

フー太郎の森基金では、ラリベラで深刻な問題となっている水不足に対
して、学校で植林クラブを組織してもらい、子どもたちとともに苗木を
育て植林する緑化事業に取り組んでいます。2003年にエチオピア法
務局から国際NGOの認証を得た後は、ラリベラの小学校の増設やバイ
オガスシステム付きトイレ工事の着手など、ラリベラに暮らす人びとと
ともに活動を展開しています。村上愛子さんは、2004年1月から2
006年3月までラリベラに赴任して、駐在員として活動を続けてこら
れました。

>フー太郎の森基金ホームページ
http://bb.soma.or.jp/~futaro/f01about/f01about.html
>フー太郎の森基金活動のあしあと
http://bb.soma.or.jp/~futaro/f03story/f03story.html

フー太郎の森基金が活動の拠点としているラリベラには、世界遺産に指
定されている岩窟教会群があります。この教会群は、12世紀から13
世紀にラリベラ王の命により、およそ24年間かけてエジプト人の手に
よって築かれたものといわれています。一枚岩を掘り下げてつくられて
おり、現在でも11もの教会が残っています。
>ラリベラの岩窟教会群
http://www.nhk.or.jp/sekaiisan/card/cards015.html
http://www.geocities.jp/ethiopiabet/ethio/travel/lalibela.html

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          ■ EFS通信 No.12 ■
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(1)研究会の報告
9月14日(木)、ASAFASの研究成果を具体的な社会開発のプロ
ジェクトに反映させてゆくための方策について研究会をおこないました。
はじめに重田眞義(ASAFAS教員)が、ASAFASの研究教育活
動について紹介し、その後エチオピア・フィールド・ステーションの研
究成果の中から、社会開発に関わりがある3つの研究を紹介しました。
その後院生と研究員が研究発表をおこないました(伊藤義将「オロミヤ
州ゲラ郡における住民の森林利用とその持続性」・マモ・ヘボ「オロミ
ヤ州アルシ県における住民の生計戦略と土地問題」・西真如「南部州グ
ラゲ県における住民組織の活動と社会開発」)。

続いてエチオピア・オロミヤ州教育局のテショメ・ランマ氏(計画・調
査・建設部長)とタマスグン・アッディス氏(計画・プログラム顧問)
および二宮雅信氏(株式会社コーエイ総合研究所)から、オロミヤ州に
おける就学率向上のためのプロジェクト(School Mapping and Micro
Planning Project)について説明を受けました。その後、プレゼンテー
ションをふまえた上で意見交換をおこないました。

日時 :9月14日 14時〜16時
場所 :京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・南棟1階
参加者:ベケレ・グテマ(ASAFAS客員)
    岸明子(株式会社コーエイ総合研究所)
    服部啓子(財団法人日本国際協力センター 研修監理部 研修監理員)
   

(2)日本ナイル・エチオピア学会参加・発表申し込み締め切り(11月3日)
2007年4月14−15日にわたって、神奈川県藤沢市の慶應義塾大
学湘南藤沢キャンパスにて開催されます。学会への参加・発表申し込み
は、11月3日までに次のEメールアドレス宛(nilo-ethiopia2007@keio.to)
に申し込みをしてください。例年より締め切りが早くなっていますので、
参加・発表をご希望の方はお気をつけください。

>慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市遠藤5322)
http://www.sfc.keio.ac.jp/

<4月14日(1日目)>
・ 公開シンポジウム:「環境から見るナイル・エチオピア」
都市計画の専門家でありつ駐日スーダン大使として活躍されてこられた
ムサ・モハメッド・オマール氏による基調講演をいただいた後、考古学、
建築、生態系、情報の専門家によるパネル・ディスカッションがおこな
われます。
<4月15日(2日目)>
・ 研究発表
* 発表者:12〜14名程度
* 発表時間:20〜30分/1人、20分発表、5分質疑応答

■ 参加申し込み
・Eメールアドレス:nilo-ethiopia2007@keio.to
・Eメールのタイトル: 「大会参加の申し込み」
・申し込み内容:参加者のお名前、所属先、郵送物のお届け先(郵便番
号込み)、専門分野、自宅もしくは所属先の電話番号(できれば両方)
*研究発表の申し込みをされる方は大会参加の申し込みは省略してくだ
さい。

■ 研究発表申し込み
・Eメールアドレス:nilo-ethiopia2007@keio.to
・Eメールのタイトル:「研究発表の申し込み」
・申し込み内容:発表者のお名前、所属先、郵送物のお届け先(郵便番
号込み)、専門分野、自宅もしくは所属先の電話番号(できれば両方)、
発表タイトル(仮でも構いません)

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          ◇ 編集委員から ◇
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京都はすっかり秋らしくなりましたが、みなさんいかがおすごしでしょ
うか。今回紹介したフー太郎の森基金は、エチオピアで国際NGOとし
て認められ活動をおこなっている、数少ない日本の特定非営利活動法人
のひとつです。一昨年から、日本人を対象にラリベラの植林事業につい
て1週間程度のスタディツアーをおこなっているそうです。(金子守恵)
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