報告
渡航期間: 2003年10月18日〜2003年11月16日    派遣国: エチオピア、タンザニア
  出張目的
  エチオピアにおけるフィールド・ステーション連携国際ワークショップとスタディー・ツアーに参加、およびタンザニアにおける臨地教育
  伊谷樹一  (大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・アフリカ地域研究専攻)

 

  活動記録
  10月18日(土)〜10月19日(日)
  • 関空発 − ドバイ − ダルエスサラーム − アジスアベバ着
      10月20日(月)〜10月30日(木)
  • アジスアベバ大学にてフィールド・ステーション連携国際ワークショップ及びスタディー・ツアーに参加
      10月31日(金)〜11月4日(火)
  • タンザニア北部広域調査
      11月5日(水)
  • タンザニア・フィールド・ステーションにて第1回公開セミナーを開催
      11月6日(木)〜11月10日(月)
  • ダルエスサラーム − モロゴロ − ドドマ − クワムトロ
    イティギ・シケット植生帯における植物利用の調査と臨地教育
      11月 11日(火)〜11月12日(水)
  • モロゴロ 
    ソコイネ農業大学で共同研究体制について協議
      11月 13日(木)〜11月14日(金)
  • ダルエスサラーム
    マコンデによる黒檀彫刻の製造と販売に関する調査および臨地教育
      11月 15日(土)〜11月16日(日)
  • ダルエスサラーム発 − 関空着

     

      結果と進捗状況
     
    (1)国際ワークショップとスタディー・ツアー
      アジス・アベバ大学で開催された「21COE International Workshop on Integrated Area Studies in Ethiopia」に参加して討論にくわわるとともに、エチオピア南部でのスタディー・ツアーに参加し、エンセーテをめぐる在来農耕システムを調査・見学し、現場で重田眞義(ASAFAS教員)、金子守恵さん、鈴木郁乃さん、西真如さん、村尾るみこさん(以上、ASAFAS大学院生)と議論をおこなった。
    (2)オンサイト・エデュケーション
      タンザニアにおける調査と臨地研究は、中部乾燥地帯と首都ダルエスサラームの2カ所でおこなった。前者では、サンダウェの植物利用をテーマとして研究を開始しようとしているASAFASの大学院生、八塚春名さん(平成15年度入学)と一緒に調査地をおとずれ、おもに植生の広域把握と自然環境の計測方法に関する指導をおこなった。現在、サンダウェは半農半牧をおもな生業としているが、彼らはもともとコイサン系の採集狩猟民であって、野生動植物相の利用は今なお生計の重要な部分を担っている。ダルエスサラームでは、マコンデによる黒檀彫刻の製造・販売に関する現地調査を実施しているASAFASの大学院生、川西陽一さん(平成14年度入学)と一緒に店舗が密集する区域において経営形態に関する全店舗調査に着手し、その調査方法と方向性について指導した。マコンデは、もともとモザンビークからの難民であったが、伝統的な彫刻技術を駆使しながら徐々にタンザニアのなかでの地位を確立していった。現在、マコンデ彫刻は、東アフリカでもっとも著名な土産物の一つとなっている。
    (3)セミナーの開催と共同研究
      フィールド・ステーションでは、管理・運営ならびに安全対策についての体制を整えた。また、ステーションで第1回フィールド・ステーション公開セミナーを開催し、タンザニアで調査中のASAFASのふたりの大学院生(上記の川西さんおよび瀬古紗矢香さん:タンザニア北部のメルーにおける伝統的医療体系とその変容に関する研究[平成13年度入学])が中間発表をおこなった。セミナーには、ASAFASの大学院生2名のほか、ダルエスサラーム在住の他大学研究者、JICA専門家、青年海外協力隊員、企業社員、実業家など、タンザニアの事情に詳しい参加者を多数迎え、多角的な議論が交わされた。
      モロゴロ市にあるソコイネ農業大学では、地域開発センターの教授陣と今後の協力体制を協議するとともに、当研究科院生をサポートしながら共同研究を実施する体制についても検討を加えた。

     

      今後の課題
        今回、第1回のFSセミナーを開催したが、今後はこれを定例化していく。ちなみに第2回セミナーは2004年2月20日に開催する予定である。また、ソコイネ農業大学との共同研究について、来年度以降は具体化していき、同大学でもセミナーを開催していく予定である。

     

    イティギ・シケットの焼畑を調査する八塚さん
     
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