報告
渡航期間: 2003年8月3日〜2003年8月6日    派遣国: ラオス
  出張目的
  フィールド・ステーションを活用した共同研究の打ち合わせと臨地教育
  岩田明久 (大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア地域研究専攻)

 

  活動記録
  8月3日(日)
  • Kyoto − Vientiane
  8月4日(月)
  • ラオス国立大学林学部を訪問した。先方の林学部長と21世紀COE担当教官、ASAFASの竹田晋也と岩田の間でフィールド・ステーション、共同研究、今年度開催予定のワークショップなどについての打ち合わせを行った。
  8月5日(火)
  • ラオス国立大学農学部を訪問した。農学部副部長、カウンターパート、東南アジア研究センター研修員の虫明悦生さんとフィールド・ステーション、共同研究、今年度に開催予定のワークショップなどについての打ち合わせを行った。
  • 同地にて水産学科の活動状況の視察を行った。
  • 共同研究の調査地として候補に挙げられているナムグム川水系ナボン周辺の視察を虫明さんと行った。
  • ラオス国立大学林学部を訪問した。林学部内の21世紀COEオフィスで現地セミナーを開催し、大学院生の研究指導を行った。
  8月6日(水)
  • Vientiane − Kyoto

 

  結果と進捗状況
 
(1)臨地教育
  ラオス国立大学林学部では、ASAFASの院生の小坂康之さん(平成12年度入学、研究テーマ:森林遷移)、松浦美樹さん(平成14年度入学、研究テーマ:森林管理)、特別研究員の生方史数さん(研究テーマ:森林管理)、京大農学部の広田勲さん(研究テーマ:焼畑)、総合研究大学院大学 先導科学研究科の増野高司さん(研究テーマ:焼畑)の5人が21世紀COEフィールド・ステーションで研究を行っていた。現地セミナーを開催して各自の研究の進捗状況を報告してもらい、今後の方針を議論した。このセミナーには、小林繁男、竹田、岩田(以上ASAFAS教官)、秋道智彌さん(総合地球環境学研究所)の4教官およびラオス国立大学林学部の講師でありASAFASの院生でもあるアヌロム・ビライポンさんと虫明さんが参加して、活発な論議が交わされた。
  また、虫明さんがラオス国立大学農学部の二人の学生に、卒業論文の指導を行っている件につき、それらの研究内容と進捗状況を確認するとともに助言を行った。
(2)共同研究
  ラオス国立大学農学部副部長のトンリ・サヤチャックさんと意見交換を行った。ヴィエンチャンのフィールド・ステ−ションにおけるラオス国立大学農学部担当が岩田であるため、その専門性をも鑑みて、水産学が専門である同副部長のウドム・フォンカムヘンさんが、今後21世紀COEプログラムの担当教官になることが合意された。岩田が代表となって行ってきたトヨタ財団の助成による現在の共同研究を基盤に、生態資源の利用・管理形態の変化、農村開発に関する諸項目に関して、ラオス・日本双方の要望を集積し、今後の共同研究プロジェクトを再構築することが承認された。また、ラオス国立大学と京都大学の間で既にMOUが締結されているので、今後の共同研究プロジェクトでは同大学農学部とASAFASの間で新たにMOUを結ぶ必要はないこと、プロジェクトの内容により、他学部やLARReC(Living Aquatic Resources Research Center, ラオス農林省所属)とも共同研究が可能であることが確認された。
  なお、ラオス国立大学林学部における共同研究の内容は竹田の報告を参照されたい。

(3)個別研究
 ラオス国民はタンパク質摂取を水産資源に大きく依存している。この国の水産資源利用で、他の国に見られない特徴としては、カエル類が魚類とともに重要視されている点が挙げられる。ラオス国立大学農学部水産学科でも水産養殖が研究テーマのひとつとして大きくとりあげられている。今回は特にカエル類の養殖事業について、ラオス国立大学農学部のカウンターパートのひとりであるセティサイさんに、ラオス国内でのカエル類養殖の経過と同水産学科の研究内容について聞き取り調査を行うとともに、同敷地内の養殖施設を視察した。より早く体のサイズを大型にするため、ラオス在来の種類にタイ産を交配させ、さらに北アメリカ産のウシガエルと交雑して養殖用の品種を作成している実態が把握できた。
(4)フィールド・ステーションの運営
  現在、トヨタ財団の助成により行われている共同研究の調査地であるサヴァナケート周辺に機動型フィールド・ステーションを設置する可能性について検討を行った。 

 

  今後の課題
  今年度内に開催予定のワークショップについて検討を進める必要がある。

 

 
ラオス国立大学農学部水産学科ではカエル類の養殖に関する研究が行われている   ラオス国立大学と共同研究の調査地として候補に挙げられているナムグム川
 
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