報告
渡航期間: 2004年3月12日〜2004年3月17日    派遣国: ラオス
  出張目的
  ラオス・ヴィエンチャン・フィールド・ステーションでのワークショップ参加と生態資源利用の調査
  岩田明久 (大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア地域研究専攻)

 

  活動記録
  3月12日(金)
  • 関西空港 − バンコク(Bangkok)空港
      3月13日(土)
  • バンコク空港 − ヴィエンチャン(Vientiane) − ルアンパバン(Luang Prabang)
     
  • ルアンパバンに到着後、生態資源利用の調査のため同市内で生態資源を利用していると思われる場所の視察を行った。
      3月14日(日)
  • ルアンパバン市内で生態資源を利用していると思われる場所、特に生鮮食料品市場及び非木材林産物を利用する機織が存在するパノム村(Ban Phanom)の視察を行った。その後、ヴィエンチャンに夕刻に移動した。
       
  • ルアンパバン − ヴィエンチャン
      3月15日(月)
  • 3月16日にラオス国立大学林学部で開催されるワークショップに関する調整のため、ラオス国立大学林学部、同大学農学部及びラオス国立農林研究所所属(NAFRI)の水生生物資源研究センター(LARReC)を訪問した。
      3月16日(火)
  • ラオス国立大学林学部で開催されたワークショップに参加するとともに講演を行った。
      3月17日(水)
  • ヴィエンチャン − バンコク空港 − 関西空港

     

      結果と進捗状況
     
    (1)臨地教育
      ヴィエンチャン訪問時には、ASAFASの院生の小坂康之さん(平成12年度入学、研究テーマ:森林遷移)、吉田香世子さん(平成13年度入学、研究テーマ:政治学)、特別研究員の生方史数さん(研究テーマ:森林管理)の3人が21世紀COEオフィスで、また同大学農学部では虫明悦生さん(東南アジア研究所研修員)が研究を行っており、各自の研究の進捗状況を聞いた。3月16日、ラオス国立大学林学部で開催されたワークショップの目的は、(1)これまで私たちが行ってきたラオスでの研究の開始から今日にいたるまでの経過説明、(2)その中でトヨタ財団から助成を受けて行われた研究成果の発表、(3)21世紀COEフィールド・ステーションを活用して行われた研究成果の発表、(4)これらを踏まえて今後の共同研究の可能性への言及である。参加者は日本側からはASAFASの平松幸三・竹田晋也・岩田の3教員および小林伸哉先生(神戸大学)、ASAFASの院生の小坂さん・吉田さん、ラオス国立大学林学部の講師でありASAFASの院生でもあるAnoulom Vilayphoneさん、虫明さん、木口由香さん(NPOメコンウォッチ)であった。ラオス側からはラオス国立大学林学部からSoukkongseng Saignaleuth林学部長、Khamlek Xaydara森林管理学科長、So Vue森林管理副学科長、Savat Wongphila事務局長はじめとして計12名、水生生物資源研究センターのSomboonさんの参加があった。残念ながら出席予定だったラオス国立大学農学部副学部長をはじめとする2名は都合のため欠席となった。6件の発表のうち、二題はASAFASの院生の小坂さんとAnoulom Vilayphoneさんで、臨地教育にもこのワークショップは大いに貢献した。
    (2)共同研究
      ラオス国立大学農学部学部長Thongphanh Kousonsavath、副部長Thongly Xayachackさんと共同研究について意見交換を行った。水産、農村開発、農具収集という3つのトピックスを共同研究の軸とし、ヴィエンチャンナーボン(Nabong)周辺とともに南部のサヴァナケート県(Savannakhet)を調査地にいれることを確認した。
     なお、ラオス国立大学林学部における共同研究の内容は竹田の報告を参照されたい。
    (3)個別研究
      今回は北部のルアンパバンで、短時間ではあるが生態資源利用について調査を行った。特に水産資源では、ラオス中部、南部におけるそれらの種類と体サイズにおいて差異が認められた。また、ラオス中部、南部には生息しない、または現在殆どみることができなくなった魚種を確認できた。

     

      今後の課題
        サヴァナケート周辺に機動型フィールド・ステーションを設置する可能性についてさらに検討を進める必要がある。

     

     
    ルアンパバンの中心にある小高い山、プーシー(Phou Si)から望むメコン河。その手前に王宮博物館の屋根が見える。風景が霞んで見えるのは焼畑の煙のせいである。   ルアンパバンの朝市で売られている魚。ナマズの類でBagariusの仲間。地元では「ワニウオ」と呼ぶ。南部ラオスでは最近めったに見られなくなった。
     
    岩場が多く、流れのある川を好むコイの仲間、Tor laterivittatus(写真中央)。南部ラオスの平野部では見られない種類。ルアンパバンの朝市にて。   水産資源は魚に限らない。昆虫類も重要なタンパク源のひとつ。これはゲンゴロウの仲間とトンボのヤゴ類。ルアンパバンの朝市にて。
     
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