フィールドワーク報告
  (1) 研究課題 (博士論文に予定しているタイトル)
(2) 博士論文において目的としていること
(3) そのうち,今回の現地調査で明らかにしたこと
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渡航期間: 2004年10月17日〜2005年3月25日, 派遣国: ブルキナファソ
(1) ブルキナファソにおける女性の装いに関する研究
遠藤聡子 (アフリカ地域研究専攻)
キーワード: ブルキナファソ,女性,衣服のデザイン,パーニュ,仕立屋


ある結婚式にて。おそろいのパーニュをさまざまに仕立てた人びと。

パーニュ仕立の様子

ファッションショーにて
(©sankara creation, Burkina Faso)
(2) コートジボワールのアビジャンやトーゴのロメを中心とした西、中央アフリカにおいて、工業プリント綿布を用いた衣服が広く一般的に着用されている。パーニュと呼ばれるその布を用いた衣服は、鮮やかな色と大胆な模様、独特の仕立デザインで目を引くだけでなく、外国から導入された工業製品でありながら、他では見られない、この地域に特有の衣装であるという点でも興味深い。
   なぜこのような装いが発達しているのだろうか。本研究は、このパーニュを用いた衣服に着目し、地域の装いがどのような変遷を経て現在の状態になり、また、国際化する世界の情勢の中でどのように変化、あるいは存続するのか描き出すことを目的とする。ブルキナファソ南部の都市ボボデュラッソとその周辺の町村におけるパーニュを用いた衣服、それを装う女性、そして衣服を仕立てる仕立屋に関する調査を通して、装いの変遷と現状を、ブルキナファソの社会的文化的変容の文脈に位置付け、また世界の動向に関連付けて分析する。

(3) 今回は2004年10月17日より2005年3月25日までの約5ヶ月半の間、ボボデュラッソにおいて調査をおこなった。装いがどのように生みだされるのか、女性がどのように衣服のデザインを選ぶのか調査することを目的とした。

【女性の装いの傾向】
現地で着用されている女性の衣服は、大半が仕立屋に布を持ち込んでつくられる仕立服で、そのデザインは細部まで着目すると実に多様である。しかしある程度決まった型があり、その型を応用してつくられた衣服が多い。そこで主な型を3つ選んで定点観測を行うと、それらが衣服全体で大きな割合を占めていることがわかった。

【衣服のデザインの選択】
ボボデュラッソにアトリエを構える仕立屋Sにおける参与観察、ボボデュラッソで働く女性からの聴き取りによって、女性がどのように仕立服のデザインを選んでいるのかの事例を集めた。女性はファッション雑誌、仕立屋に置いてある写真などのほか、町でみかけた女性から着想を得ていた。そのため、デザインのやり取りやそれに起因する問題などがあることもわかった。女性たちはまた、仕立のデザインを信頼する仕立屋に一任することも多い。女性の装いのデザイン選択に果たす他者の存在や、仕立屋の役割が大きいことが伺えた。

【仕立屋に関して】
仕立屋に関しては、仕立屋Sにおいて主人とその従業員の仕事内容や経歴等について観察、聞き取りをおこなった。仕立屋Sでは注文仕立のほかに、仕立学校を経営して技術教育を行なっている。また、ファッションショーによる広告活動等をおこない、新しい衣服のデザインを提案していることがわかった。このような仕立屋Sにおける事例をふまえて、今後さらに仕立屋が装いに果たす役割について調査を続ける予定である。

 
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