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2005年1月15日から24日までダルエスサラームにおいて資料収集をおこなった後、1月25日から2月15日までタンザニア南部のイリンガ州ンジョンベ県キファニャ村においてアグロフォレストリーに関する現地調査をおこなった。当地のアグロフォレストリーで造林される薪炭用のブラックワットル、および製材用のマツは、いずれも種子が野火などで加熱されると発芽するという特性をもつ。その林を伐採・利用した跡地に焼畑が造成され、火入れによって林の天然更新をはかると同時に、造林初期の数年間に幼樹間で作物が栽培される。今回の調査では、1.木材利用と植林、そして焼畑の歴史的な関わりについて聞き取り調査をおこない、2.ブラックワットル林およびマツ林の成熟と、その後の焼畑の造成にともなう土壌養分の経年変化を分析することを目的として、土壌試料を採取した。
- 2000年の調査当時には、焼畑はブラックワットル林の伐採跡地に造成されるのが主であった。ところが、今回の調査では焼畑の大半がマツ林の伐採跡地に造成されていた。この変化には、木材の販売を目的として1980年代以降に積極的に植林されるようになったマツの成熟と、従来の木挽きによる製材から2001年に導入されたエンジン付き機械による製材へという技術の変化、およびそれにともなう製材面積の拡大が大きく影響していることが判明した。
- 持ち帰った土壌の分析から、現段階では、マツの植林によって林床の土壌は著しく酸性化すること、そしてその後の焼畑により土壌酸性が矯正されることが明らかになっている。今後、土壌の理化学性についてさらなる分析を加える予定である。
上記の結果をふまえて造林型焼畑の持続性を多角的に検討する。同時に、造林型焼畑の展開と農村社会の関わりについて検討していきたい。