報告
渡航期間: 2004年8月4日〜2004年9月2日 派遣国: カメルーン
出張目的
カメルーンにおける臨地調査及び臨地教育
市川光雄
(大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・アフリカ地域研究専攻)
活動記録
8月4日(水)
関空発 − パリ着
8月5日(木)
ヤウンデ着
8月6日(金)〜7日(土)
在カメルーン日本大使館訪問。国枝昌樹大使、金井玉菜医務官と面談。カメルーン政府の森林保護政策についての情報収集と意見交換。
8月8日(日)〜27日(月)
下記の調査及び臨地教育に従事。
8月29日(日)
パリ着
8月30日(月)〜31日(火)
フランス自然史博物館における資料収集と研究連絡
9月1日(水)〜2日(木)
パリ発 − 関空着
結果と進捗状況
(1)ブッシュ・ミート取引に関する広域調査
近年、急速に拡大した野生獣肉(ブッシュ・ミート)取引の実態に関する広域調査、とくに、東部州および北部州の動物保護区(国立公園)周辺における野生動物の狩猟及び近隣都市におけるブッシュ・ミート取引の実態に関する予備的な調査をおこなった。
(2)大学院生の調査地選定と臨地教育
住民による野生動物利用と自然保護計画の関係に関する研究を計画している本研究科の大学院生安田章人君(平成16年度入学)の調査候補地である東部州Deng-Deng地区、及び北部州ベヌエ(Benoue)地区の予備的調査をおこなった。また、昨年度より、カメルーン東部州のBoumba-Bek及びNki国立公園予定地域周辺において、バカ・ピグミーに関する調査をつづけている服部志帆さん(平成12年度入学)の調査地(Malea Ancien村)を訪問し、これまでの調査とその成果のまとめ方に関する討論をおこなった。
さらに、調査基地のあるドンゴ(Ndongo)を訪問し、基地の維持管理にあたるとともに、基地を利用して調査活動をしている浜松医大佐藤弘明教授、東京大学医学系研究科山内太郎助手と情報交換及び研究連絡をおこなった。
(3)関係機関における情報収集と研究連絡
WWF-Cameroon でBoumba-Bek及びNki N.P. 設立計画のproject coordinatorを務めるDr. Leonard Usongo、 Benoue N.P. のConservateur(森林環境省所属)を務めるDr. Assan Gomsé と面談し、調査地に関する情報収集、及び我々の調査への理解と協力を求めた。また、ヤウンデに戻ってから、同市郊外にあるCIFORのregional officeを訪問し、Mr. Tieguhong Julius から同センターの活動についての情報を得た。さらに、カメルーン東部州において住民参加型自然保護に対する支援をおこなっているドイツ政府援助組織(GTZ)のDr. Mathias Heinze (Conseiller, GTZ Cameroon)、及びかつて世銀コンサルタントを務め、現在はベルギーのブリュッセル自由大学(Université Libre de Bruxelles)で教鞭をとるDr.Veronique Joirisとも会談し、今後の協力関係に関する意見交換をおこなった。
フィールド・ステーション(FS)運営状況と今後の課題
カメルーンFSにおける調査研究活動はきわめて円滑に進んでいる。現在、この周辺で、2名の本研究科大学院生が調査活動に従事しているほか、今年度後半にはさらに3名の大学院生と教員が調査に向かう予定である。また、本FSは京都大学だけでなく、日本の他大学研究者も利用する調査拠点としての機能をもっており、今年度だけでもすでに、浜松医科大学をはじめ、東京大学、山梨大学、静岡大学、富山大学等の研究者がFSを利用している。今後もこのような共同利用をすすめ、カメルーンにおける我が国の調査の重要な拠点としての役割をさらに強化していきたいと考えている。
また、現地の研究機関、自然保護・地域開発関係のプロジェクト・オフィス等との協力関係もほぼ順調に維持されており、平成16年度の後半には、「熱帯雨林の保護と利用」をテーマにした第2回目の現地セミナーをWWF-Cameroon及びカメルーン森林環境省(MINEF)との共催によって開催したいと考えている。
熱帯雨林に設けられたバカの採集キャンプで調査をする服部志帆さん(平成12年入学)と安田章人君(平成16年入学)
Malea Ancien村の服部さんの家と付近のバカの人びと
21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」
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