報告
渡航期間: 2004年12月31日〜2005年1月8日    派遣国: シンガポール、マレーシア
  出張目的
  オンサイト・エデュケーションとワークショップの打合せ
  長津一史 (大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・東南アジア地域研究専攻)

 

  活動記録
  12月31日(金)
  • 京都 − シンガポール着
      1月1日(土)〜1月2日(日)
  • シンガポール市内にてマレー語イスラーム教本等の文献収集
      1月3日(月)
  • シンガポール − クアラルンプル国際空港−バンギ(Bangi)
      1月3日(月)〜1月4日(火)
  • バンギ(マレーシア)・フィールド・ステーションの整備
     
  • マレーシア国民大学マレー世界文明研究所(ATMA)にてShamsul Amri Baharuddin同研究所所長とフィールド・ステーションの運営およびワークショップに関する打合せ
      1月5日(水)
  • ATMAにてDing Choo Ming同研究所教授とフィールド・ステーションのコンピュータ環境整備およびマレー世界研究データベース構築に関する打合せ
     
  • Ding Choo Ming教授とともにスランゴル州スンガイ・チュア(Sungai Chua)の華人「新村」訪問
      1月6日(木)〜1月7日(金)
  • バンギ・フィールド・ステーションにて村落調査データベース作成に関する勉強会
     
  • ATMAにてShamsul所長とマレーシア行政制度調査に関する勉強会
     
  • スランゴル州ウル・ランガット(Hulu Langat)にてオンサイト・エデュケーション
      1月7日(金)
  • バンギ − クアラルンプル国際空港−シンガポール着
      1月8日(土)
  • シンガポール − 京都着

     

      結果と進捗状況
     
    (1)フィールド・ステーションの整備
      マレーシア国民大学マレー世界・文明研究所(ATMA)を通じてマルティメディア・プロジェクタおよびスクリーンを入手し、フィールド・ステーションを拠点として勉強会や研究発表をおこなうことができるよう整備した。ATMAではShamsul教授およびDing Choo Ming教授を訪問し、フィールド・ステーションを通じた研究協力の推進について話し合った。
    (2)オンサイト・エデュケーション
    1. ASAFAS大学院生の河野元子さん(平成11年度入学)、加藤優子さん(平成12年度入学)、内藤大輔さん(平成15年度入学)が、調査活動や資料作成のためにフィールド・ステーションを利用している。河野さんは、2004年度の21世紀COEプログラムにより派遣されており、「新経済政策下の沿岸漁業の展開と民族間関係の動態的研究」をテーマとしてトレンガヌ(Terengganu)州で臨地調査を継続中である。加藤さんは、「マレーシアにおける出産の社会史」をテーマとして、スランゴル州ウル・ランガットのミナンカバウ系マレー人の村で臨地調査を開始した。内藤さんは「マレーシア半島部における森林認証制度とオラン・アスリ」をテーマとして、ヌグリ・スンビラン州で予備調査をおこなった。
        今回は河野さんおよび加藤さんと会い、オンサイト・エデュケーションを実施した。まずフィールド・ステーションにおいて村落社会経済調査データベースおよび地図作成に関する討議をおこない、その後、加藤さんの上記調査村を訪問した。村では、加藤さんのホスト・ファミリーから移住の歴史や医療の現状について簡単な聞き取りをおこなった。
    2. マレーシア国民大学マレー世界文明研究所の講義室(Sudut Wacana)にて、Shamsul教授、河野、加藤とともにマレーシアの地方行政制度に関する勉強会をおこなった。勉強会では、Shamsul教授から地方行政制度の調査法に関する講義を受けた。
    (3)連続ワークショップ
      河野、加藤とともに「それぞれのフィールドワーク ―マレーシア研究の可能性を再考する」をタイトルとする連続ワークショップ(計3回)の準備を進めた。同ワークショップはマレーシアで臨地調査をおこなっている日本人若手研究者を中心とし、マレーシア地域研究の現状と、それぞれが臨地調査において直面している学問的、技術的な問題点を討議することを目的とすることにした。ワークショップのプログラムについては下記を参照。 http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/japan/fsws/2005_malaysia/20050120.html

     

      今後の課題
         今回企画した連続ワークショップは、マレーシアで調査中の日本人研究者を対象とするものである。ASAFASの大学院生・研究者の研究動向をマレーシアの研究者に伝えるためには、後者をまじえたワークショップをおこなう必要があろう。現在、マレーシア国民大学のATMAや人文社会学研究科の若手教員および大学院生が行っている定期勉強会(Malim Sarjana)を数回、共同で組織するかたちで、そうしたワークショップを開催する可能性を検討している。

     

     
    Shamsul教授からマレーシアの地方行政制度の調査法に関するアドバイスを受ける河野元子さん(平成11年度入学)と加藤優子さん(平成12年度入学)。   調査地のホスト・ファミリーと加藤さん。加藤さんはスランゴル州のミナンカバウ系マレー人の村で出産慣行に関する調査をおこなっている。
     
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