(3) 2005年12月19日〜2006年2月1日と2006年2月14日〜3月29日の間にエチオピア南西部に位置するジンマ郡ゲラ行政区で調査を行った。昨年に引き続き、ゲラ行政区の標高2600m付近に位置するセイチャ村にて聞き取り調査と参与観察を行なった。今回は人々の出自集団の編成に留意しながら、彼らがセイチャ村に移動してきた経緯を調査すると同時に、彼らの移動をともなう生業活動に関する重点的な参与観察を行なった。今回の調査では主に以下の5点が明らかになった。
- 人々は雨季である6月〜8月には、標高が低い温暖な地域へ出かけていきハチミツの採集を行なっている。
- 人々は11月〜1月の乾季には、雨季と同じ場所に出かけて行きコーヒー豆の収集を行なっている。
- こうして温暖な地域で採集するハチミツとコーヒー豆が、彼らの生計の大部分を占めている。
- 人々の多くは調査地であるゲラ行政区南部から移動してきており、彼らはオロモ人ではなく、カファという民族集団に起源を持つ人々である。
- 人々が移動を行なった理由の一つは、ゲラ行政区南部において商業用コーヒー栽培が拡大したために、南部の土地を売ったり、コーヒー・プランテーションにしたりして、そのかわりに新たな耕作地を求めたためである。