(3) 今回の派遣では、2006年1月23日から5月22日までドドマ州コンドア県のファルクァ村におけるサンダウェの環境利用について、特に現在、彼らの生業活動の中心となっている農耕による環境利用を明らかにすることを目的として現地調査を実施した。調査内容と結果は以下の3項目である。
- 調査村での環境の特徴を把握するために植生調査を実施した。サンダウェは、村周辺の植生には主に4つの種類があると言う。そこで、植生調査は4つの植生タイプそれぞれを代表する場所で行った。その結果、調査村は主に彼らが言う4つの植生にわけることができた。それらは植生調査と土壌分析の結果、Trapnell(1962)を参考にすると、イティギ・シケット、ミオンボ林、コミフォーラ・シケット、草湿地に相当する。
- 農耕については、耕地面積や栽培作物を調査し、さらに収量や畑の移動の歴史に関する聞き取りを行い、1.で調査した植生と畑との関係を検討した。その結果、彼らはそれぞれの植生ごとに作付け体系を変化させていた。すなわち、トウジンビエのようにサンダウェ社会で古くから栽培されていた作物はイティギ・シケットとミオンボ林に作付けされる傾向にあり、また、トウモロコシのように比較的近年に導入された作物はアカシア・コミフォーラ林と季節湿地に作付けされる傾向にあった。これらの使い分けは、作物の生理的特徴、土壌条件、鳥害の程度、家からの距離、畑主の嗜好面における好みなどによって左右されていた。
- 畑内に自生している半栽培植物の種類と量を、コドラートを設置して調べ、また、それらの利用についての参与観察および聞き取りを行った。その結果、サンダウェは副食については、マメ類以外の作物をほとんど栽培していないが、代わりに雨期に畑に生育する多くの半栽培植物を利用していた。この半栽培植物は、副食の約50%を占めており、食料の乏しくなる乾期に備えて、数キロも乾燥保存されていた。また、これらの半栽培植物については、村内での販売や分配が盛んに行われているようだった。
<参考文献>
Trapnell, C. G. (1962) The Natural Vegetation of East Africa. In: E. W. Russell (ed.) The Natural Resources of East Africa. pp.92-102. Nairobi: D. A. Hawkins, Ltd.