フィールドワーク報告
  (1) 研究課題 (博士論文に予定しているタイトル)
(2) 博士論文において目的としていること
(3) そのうち,今回の現地調査で明らかにしたこと
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渡航期間: 2003年3月18日〜3月28日, 派遣国: ミャンマー
(1) ミャンマー・バゴー山地におけるタウンヤ式チーク造林の長期持続性−過去100年間の生態環境の変遷−
鈴木玲治  (東南アジア地域研究専攻)
キーワード: タウンヤ,チーク造林,土壌有機物,植生遷移,野火


火入れ(タウンヤ1年目)

チーク材を搬出する象
(2) 本研究の調査対象地であるミャンマー連邦バゴー山地では、タウンヤによるチーク造林が19世紀半ばより今日まで継続的に営まれてきた。これほど長期に及ぶチーク造林の継続は世界でも他にほとんど例をみず、ミャンマーのチーク造林は熱帯造林の希有な成功例として語られている。
  しかしながら、チークの伐採時には大量のバイオマスが持ち出されるため、造林2サイクル目以降には地力の大幅な低下が危惧され、また、チークの一斉造林には、土壌浸食や病虫害の激化等の様々な生態学的問題点が伴うことも指摘されている。長い歴史をもつミャンマーのタウンヤではあるが、このような問題点に着目して長期的なタウンヤの持続性を定量的に論じた研究事例はほとんどなく、将来的な持続性については再検討する必要がある。
  本研究では、ミャンマーのタウンヤ式チーク造林を例に、タウンヤの長期的持続性を「養分収支」及び「生態学的特性」の観点から評価し、さらに、「社会経済的要因」からみた持続性についても考察を加え、持続可能な農林手法としてのタウンヤ法のあり方について論ずることを目的とする。

*タウンヤ:
樹木の植栽と同時に農作物を植栽樹の列間に栽培し、林冠が閉鎖し林床が照度不足となった後は樹木の保育のみを行って人工林を再生する、造林主体のアグロフォレストリー

(3) 今回の調査では、一年間継続的に行ってきたチーク植林下のリターフォール供給量と分解量に関する実験の最終データ回収を行った。これらのデータは、チーク植林下の有機物の回転速度の計算に用いられ、養分収支からみたチーク植林の持続性評価の際に重要なデータとなる。また、本年度に伐採されたチーク植林地の切株より、年輪解析用のチーク円盤を計10枚採取した。これらの円盤から得られるチーク生長曲線より、チークの最適な間伐頻度や最適伐期等が推定出来る。また、森林局の営むタウンヤ式チーク植林事業の費用便益分析のため、植林コスト及び森林局の収益に関するヒアリング調査及び資料収集を行った。

 
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