21世紀COEプログラム研究会
アフリカ地域研究会のご案内

日時: 2003年10月17日(木) 15:00〜17:00

場所: 京都大学アフリカ地域研究資料センター
新館3階 共同講義室(京都市左京区吉田下阿達町46)

演 題: 「トラクターから牛耕へ: エチオピアにおける再定住・海外援助・変化」

講 師: ゲブレ・インティソ(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻、COE・JSPS特別研究員)

要 約: 
発展途上国への開発介入はその失敗例に事欠かない。プロジェクトがひとたび失敗すると、それに関わった役人や専門家など援助する側の人びとにとってはすべてが思い出になるだけだが、地元の人びとにしてみればそれは、痛みをともなう現実であり、はかりしれない影響を被った出来事となる。プロジェクトが終了すると研究の関心も薄れるため、開発計画が失敗した後の人びとがどのように適応しているかについてはほとんど知られてこなかった。このような点を念頭において、私は、エチオピアの再定住計画に際して外からもちこまれた開発計画について述べたい。80年代、エチオピア政府は8万2千人を越える人びとを人口稠密で旱魃の被害に遭いやすい高地からメテケレ低地へと移住させた。イタリアの援助機関がこの再定住した人びとへの開発援助計画を最初から支援した。莫大な海外からの資金の流入、機械化された大規模農場の設立、社会設備やサービスの充実、工場の設置などは、メテケレを農工業のパラダイスに変えた。しかし、90年代初めイタリアの協力によるプロジェクトが終了すると、予期せぬ結果がもたらされることになった。そのひとつがトラクター事業である。移住した人たちの中には、元の村に戻って食糧難や地元民との紛争を避けようとしたひともいた。しかし、メテケレに残る決心をした人びとには、牛耕にもどるという選択肢しか残されていなかった。トラクターから牛耕へ、というこの変化は生やさしいものではなかった。去勢牛の不足、牛の病気、労働力不足、肥料の入手難、頻発する害虫や雑草の害など数々の困難が待ち受けていた。しかし、このような困難に対して、彼らが自らの手であらたな対応策を創り出していったことに注目することも大切であろう。それは、開発介入の不備を論ずるためというよりも、むしろ「彼らの流儀」でやれば開発計画もうまくいくということを強調するためにも。

この研究会は、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と京都大学東南アジア研究センターが、2002年度から共同で遂行している21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」の研究活動の一環です。

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ご希望の方は下記にお知らせ下さい。

連絡先: 京都大学アフリカ地域研究資料センター、宮本可奈子
TEL: 075-753-7821 FAX:075-753-7810

E-mail: kanako@jambo.africa.kyoto-u.ac.jp

 
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