21世紀COEプログラム研究会
アフリカ地域研究会

日時: 2004年5月11日(火) 15:00〜17:00

場所: 京都大学アフリカ地域研究資料センター
共同棟3階演習室 (京都市左京区吉田下阿達町46)

演 題: 「ケニヤ都市部のギクユにおける父性と男性的自己の構築」

講 師: ニキ・ネルソン博士(ロンドン大学ゴールドスミス校人類学科)

要 旨: 
本研究は,1998-1999年にナイロビ在住の50名のギクユの男性から得られた父性についての語りに基づいている。対象者は,専門職,小規模ビジネスマン,事務官,インフォーマルセクターの商人であった。彼らはみな,都市に生活の基盤を持ち,生産様式としての農業にはとらわれず,何らかの公的教育を受け,クリスチャンで,「近代的な」一夫一婦婚にコミットしていた。また,いわゆる「近代的な親」になるために,父性を改革していくことに興味を持っていた。
  本研究は,ギクユにおける子育てスタイルの新展開,さらにそれが「近代的な」ギクユの自己および男性アイデンティティについての理念に与えたインパクトを歴史的に位置づける。これにより,以下に関するギクユの経験について論じる:植民地主義以前および植民地主義,生産パターンの変化,キリスト教・近代教育・父性と子育てについてのグローバルな「専門家」の視座の導入
  父性についての新たな理念のインパクトを検討することで,発表者はさまざまなテーマを展開する。都市のギクユにおける父親としてのふるまいは,男性の独自のアイデンティティを創造するうえで決定的に重要な「自己の実践」となってきており,今やその社会的なアイデンティティに取って代わりつつあるのかもしれない。こうした父親としてのふるまいはまた,「近代性」の標識となってきており,人としての価値の実現のために生活の指針とされる「型」の1つとなっている。この近代的な型においては,子どもは計画の対象となり,男性はより拘束されない,より女性化した男性像を選びつつある。

この研究会は、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と京都大学東南アジア研究所が、2002年度から共同で遂行している21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」の研究活動の一環です。

アフリカ地域研究会の案内をFAXおよびE-mail でお送りしています。
ご希望の方は下記にお知らせ下さい。

連絡先: 京都大学アフリカ地域研究資料センター、宮本可奈子
TEL: 075-753-7821 FAX:075-753-7810

E-mail: kanako@jambo.africa.kyoto-u.ac.jp

 
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