21世紀COEプログラム研究会
アフリカ地域研究会

日時: 2005年4月21日(木) 14:00〜17:00

場所: 京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科(京都市左京区吉田下阿達町46)     
東棟2階第一セミナー室(207号室)

演題(1):「タンザニアの言語プロジェクト」の過去、現在、未来

講 師:Prof. Daniel Mkude(ダニエル・ムクデ教授)
University of Dar Es Salaam/ILCAA(ダルエスサラーム大学/東京外国語大学AA研)

要 旨: 
   タンザニアの言語というプロジェクトが、本気で立ち上がったのは2001年である。このプロジェクトには、大きく2つの目的がある。
  1. タンザニアの言語地図を作製し、諸言語の地理的位置、話者数、そして系統分類を示す。
  2. それらの言語の文法、語彙の記述的研究をシリーズ化し出版する。
   こういった背景には、スワヒリ語がタンザニアの国語および公用語として十分確立し、その結果、他の民族語が顧みられなくなり、急速に消滅に向かっているという認識がある。従って、このプロジェクトは、まずそれらが完全に消滅する前に、学問的に記録を残しておこうとするものである。

   プロジェクトは全9年計画の予定で、各々3年計画の3つの段階に分かれている。現在第2段階にある。第一段階は、いわば試験期間で、ビクトリア湖周辺の10言語を対象とした。実際の調査のために、国を5つのゾーンに分けた。ただやってみていくつかの問題に直面した。言語記述の熟練した技、専門的知識、機材、それに資金の不足などである。こういった困難を克服するために、プロジェクト自体の中に訓練コースを設け、学生をPhDレベルまで訓練するプログラムを持つなどしている。この訓練によって、これから将来にわたってこのプロジェクトを続けていく技能と、また興味を植え付けることができるものと期待されている。またわれわれのプロジェクトは、外部の研究者や組織と連携と協力関係を持ちたいと願っている。今までのところ、スエーデンのイエテボリ大学と協力関係を確立した。

演題(2):リンガラ語の社会言語学的側面再考-近年の言語資料を基にして

講 師:Prof. Motingea Mangulu(モティンゲア・マングル教授)
Universite Pedagogique Nationale Kinshasa -Binza (RDC)/ILCAA
(キンシャサ教育大学/東京外国語大学AA研)

要 旨: 
  リンガラ語は、もともとコンゴ民主共和国の西部とコンゴ・ブラザビルの北部を中心に話される共通語であるが、また、中央アフリカ共和国やスーダン南部、またアンゴラやガボンでも、程度の差はあるが、話されている。リンガラ語は明らかにその構造が簡略化されているため、この言語に対する興味は、主としてピジン化やクレオール化に興味を持つ学者のもののみであった。

  リンガラ語は、特定の部族の言語ではないのだが、聖心派の宣教師には嫌われ攻撃されてきた。聖心派の宣教師はモンゴ族の土地に根拠地を構えたため、リンガラ語とモンゴ語の歴史が切り離しがたいものとなった。以上のようなことにも拘わらず、リンガラ語は社会的に発展してきた。

  この報告では、リンガラ語域に話される様々な言語の近年の資料を基にして、リンガラ語の社会言語学的側面を再考する。さらに、コンゴ政府がどうして言語政策に乗り気でないのか、その隠された秘密に迫る。そして最後に、国の西部の都市に住む若い世代が、どうしたら自らの母語で教育が受けられるようになるかについて考察する。

この研究会は、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科と京都大学東南アジア研究所が、2002年度から共同で遂行している21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」の研究活動の一環です。

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ご希望の方は下記にお知らせ下さい。

連絡先: 京都大学アフリカ地域研究資料センター、宮本可奈子
TEL: 075-753-7821 FAX:075-753-7810

E-mail: kanako@jambo.africa.kyoto-u.ac.jp