21世紀COEプログラム研究会
アフリカ地域研究会

日時: 2006年10月19日(木) 15:00〜17:00

場所: 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(京都市左京区吉田下阿達町46)
東棟2階第1セミナー室(207号室)

演題: ウガンダの地方分権化の新展開:2000年と2006年の比較から

講 師: 斉藤文彦(龍谷大学国際文化学部教授、
     京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科客員教授)     

要 旨: 
  地方分権化はアフリカを含む世界のガバナンス改善の目玉として 取り組まれている。ウガンダはアフリカにおいて最も野心的分権化政策を とってきた。本報告では著者の英語本(Decentralization and Development Partnerships, 2003 Springer)の基礎となった2000年での現地調査と、 本年の調査を比較し、同国における分権化がどのように「深化」しつつあ るかを考察する。その結果明らかなことは、1)政策枠組みなどの進展は著 しい。2)中央政府や5つのレベルからなる地方政府の間の支援関係が強化 された。3)さらに草の根との接点となるべき各種のサービス普及員が質・ 量ともに改善された結果、公共サービスが向上した。しかし反面において、 政治面での変化の多くは将来に向けての課題である。1)1986年に成立した ムセベニ政権の長期化にともなう政治的退廃が広まりつつある。2)2006年 の選挙が、多党制によってなされたことにより、地方での「公共性」の再構 築が複雑となった。3)人々の直接選挙が何回か繰り返された結果、中央政 治と地方政治が複層的・多面的に連関性をもつようになった。このような結 果、「国家」の質が変化しつつあるとも考えられる。
  このような功罪両面が同時進行しつつある中で、現政権によって導入され た地方政治の仕組みが今後政党政治から隔離され、中立的な地方行政体と なっていくかどうかも注目が集まるところである。

この研究会は、「地域人材・公共政策開発システムオープン・リサーチ・センター(LORC)」との共催です。

アフリカ地域研究会の案内をFAXおよびE-mail でお送りしています。
ご希望の方は下記にお知らせ下さい。

連絡先: 京都大学アフリカ地域研究資料センター、宮本可奈子
TEL: 075-753-7821 FAX:075-753-7810

E-mail: kanako@jambo.africa.kyoto-u.ac.jp