研究会
「パプアニューギニア高地におけるサツマイモ耕作の変容」


報告者: 梅崎昌裕(東京医科歯科大学)
日時: 2003年10月17日(金) 
16:00〜18:00
場所: 京都大学東南アジア研究センター 東棟207教室


伝統農耕は環境を破壊する側面と保全する側面を併せもっている。そもそも畑を開く
際には一次植生を切り開く必要があり、人間が農耕に依存して生活することによる森
林の減少は不可避的なものであるといえよう。一方、耕作中の畑に地力回復を目的と
した植林を行う、あるいは肥料として鋤き込むための特定の植物を畑の周りに植える
という行動は積極的な環境保全行動であるということもできる。植えられる植物は
人々が何らかの意図をもって選択したものであり、地域生態系には人々にとって有用
な植物の生息密度が上昇することになる。このような伝統農耕と自然環境の具体的な
かかわりを解明することを目的としてパプアニューギニア高地タリ盆地において
フィールドワークをおこなった。タリ盆地ではサツマイモの生育に適した土壌水分量
を実現するために排水溝を掘り巡らし、植え付けのためにマウンドをつくり、土壌の
肥沃度を維持するために積極的な植林と緑肥の鋤き込みを行う集約的なサツマイモの
耕作が行われてきた。しかしながら、近年では急激な人口増加、天然資源の発見、人
口移動によって、盆地の一部では休耕期間の短縮と土地生産性の劣化がすすみ、食料
生産を中心とした生存システムが変容を余儀なくされている。発表では、この動態を
具体的なデータを示しながら紹介する予定である。

これは、「東南アジアの自然と農業研究会」第112回定例研究会です。

問い合わせ先:

星川圭介 総合地球環境学研究所
Tel. 075-229-6155 / e-mail: hoshi@chikyu.ac.jp

田中耕司 京都大学東南アジア研究センター
Tel. 075-753-7307 / e-mail: kjtanaka@cseas.kyoto-u.ac.jp

 
 
 21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」 HOME