研究会
「限界地域における小規模生業・自然資源管理の改善のための新たな手法 −アジアモンスーン地域の経験−」


 アジアモンスーン地域は、高収量品種、化学資材、潅漑等、いわゆる近代技術の恩恵を受け、農業や地域の発展に多くの奇跡がもたらされてきました。にもかかわらず、この地域には、世界人口の3分の2が暮らしており、依然としてその相当部分が、特に限界地域において、小規模な生業と脆弱な自然資源とに依存しています。限界地域は山岳地域、半乾燥・天水地域、森林周縁地域、湿性地域等、地理的に多様性に富み、また、アジアモンスーン地域ではヒマラヤから、東南アジア内陸部・沿海部、さらに朝鮮半島や日本列島の山岳地帯まで連なっています。
 限界地域は、不十分な土壌肥沃度・水、低農業生産力、購入資材の入手難等の共通点を持っていますが、同時に非常に複雑で多様な自然・社会経済的条件を有しています。さらに、この地域は、近代技術の恩恵にほとんど浴しておらず、大部分の人々は依然として貧困や環境の劣化に苦しんでいます。
 一方、限界地域における近代技術の限界を踏まえつつ、限界を乗り超え、新たな農業の発展方向を探る様々な手法が試みられてきました。例えば、ファーミングシステム研究・普及、参加型開発等で、これらは農民の現場に即した知恵や技術を重視していることが特徴となっています。また、コミュニティーの形成、発展等の貧困層のための社会資本の充実を目指した制度の改革やより良い統治、さらに市場や公共サービスへのアクセス改善等の政策形成に力点を置く手法も見られます。
 アジアモンスーン地域でも、貧困削減、食糧安全保障、環境保護への強い要請を受けて、限界地域の持続可能な発展のためのプロジェクト、プログラム、政策形成の様々な取り組みが行われて来ており、既に、様々な経験の蓄積が出来てきています。したがって、これらの経験からより良い手法を導き出していくことが緊要の課題となっています。 
 本シンポジウムは、アジアモンスーン地域の限界地域における小規模生業・自然資源管理の改善のための新たな取り組みを提示し、現場での経験の評価と情報交換を行うことを目的とします。
 
日時: 2003年10月29日(水)〜30日(木)
場所: 国連大学エリザベス・ローズ会議場
(〒150-8925 東京都渋谷区神宮前5-53-70 )

オープニングセッション
セッション1:基調講演: 限界地域における近代技術の果たした役割 国連大学「人間・土地管理・環境変化(PLEC) 」プログラムの概要
セッション2:農業の多様性管理
セッション3:農業経営と生業
セッション4:森林管理
セッション5:農民技術の普遍化
セッション6:制度改革と能力向上
セッション7:総合討論と提言

詳細: http://www.unu.edu/hq/japanese/PLEC/index2003.html

 

 
 
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