研究会 「スカルノのインドネシアとスハルトのインドネシア」

日時: 2003年3月11日(火) 13:00〜18:00
会場: 京都大学東南アジア研究センター 東棟2F教室

  1998年のスハルト政権崩壊以降、インドネシアの政治体制・政治状況は大きく変容しました。こうしたなか、スカルノ体制を考察することが可能となったこともあり、またインドネシア政治の現状を理解し、その将来を見据える意味もあって、スカルノ期とスハルト期のインドネシアを比較対照しようとの研究気運がみられます。今回の研究会では、スカルノ政治の思想基盤とスハルト政治の制度基盤を軸としながら、この問題を考えます。
  なお、この研究会は、1998〜2002年度の COEプロジェクト「アジア・アフリカにおける地域編成 原型・変容・転成」の研究活動の一環であり、今年度からは21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」の一環として引き継がれます。本年度第1回目、通算10回目の研究会です。

13:00〜14: 30: 桾沢英雄(早大)
「<ゴトン・ロヨン>概念とスカルノのインドネシア」

発表要旨
  1945年6月1日の独立準備調査会の席上、スカルノによってインドネシアの国是となるパンチャシラの構想が発表された。このときスカルノは、パンチャシラを一つの原則で表現するなら、それは純粋なインドネシア語である「ゴトン・ロヨン」だ、と述べた。その後スカルノは、指導される民主主義期(1959-65)が始まる前頃から、演説で「ゴトン・ロヨン」を頻繁に用いるようになる。
  ゴトン・ロヨンは日本語では相互扶助と訳されているが、スカルノが用いた「ゴトン・ロヨン」とは、どのような概念であったのだろうか。この概念の検討をとおして、スカルノはどのようなインドネシアを描いていたのかを考えてみたい。

14:30〜14:45: コーヒーブレーク

14:45〜16:15: 佐藤百合(アジ研)
「スハルトのインドネシアにみる支配の制度」

発表要旨
  スハルト時代が過去のものとなり、この時代を相対化して、それ以前、それ以後の時代と比較して検討できるようになった。スハルト時代が他の時代と大きく異なる点は、一つには、きわめて包括的なひとつの支配の制度が確立されたことにあろう。
  しかし実は、スハルトの基本的な支配(国家統治)の理念と手法は、スカルノから受け継いだものであった。そこでまず、スハルトが何を継承し、そこにいかなる革新を加えて、どのような支配の制度を作り上げたのかを検討する。しかし、この支配の制度は、いったん確立された後は、国内外の変化に対応できず、むしろ時流に逆行する傾向さえ見せる。この制度の欠陥はどこにあったのかを、次に検討する。

16:15〜16:30: コーヒーブレーク

16:30〜17:30: 総合討論

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