研究会
「タイ北部におけるミアン(噛み茶)林管理とその変容−チェンマイ県パンマオー村の事例−」


話題提供者: 佐々木綾子 (京都大学農学研究科)
日時: 2004年2月20日(金) 
16:00〜18:00
場所: 京都大学東南アジア研究センター 東棟207教室


タイ北部では1960年代以降、森林から農地への転換や短期休閑型焼畑の拡大等によって森林減少が進行してきた。その一方で、タイ北部山地にみられる林内チャ栽培形態「ミアン林」が、森林減少を招く短期休閑型焼畑と対極にある永年作物栽培を用いた「持続的森林利用」として注目を集めている。
 「ミアン〔miang〕」とは、「食用茶・噛み茶」の総称である。このミアンは醗酵させた茶葉を食すもので、その習慣はミャンマーから北部タイ、ラオス、そして北部ベトナムといった東南アジアの山間部に分布している。
 「ミアン林〔pa miang〕」とはこのミアン生産のための茶葉を栽培する林内チャ園を指す。ミアン林内部は、チャ樹への日射を和らげるための被陰樹や薪炭・用材採取用樹木として上層に大径木が残されている二段階層林を構成しており、また林内で放牧が行われていることから、アグロフォレストリーの中でも林・農・畜産業を組み合わせたアグロシルボパストラル(agrosilvopastral)だといわれている。
 これまでミアン林を対象とした点的な生態調査は行われてきたが、ミアン林を含むミアン生産村全域を面的に捉えた研究は少なかった。またミアン生産村におけるミアン林管理の実態、ならびに社会経済の変化に対応したミアン林管理の変容に関する調査研究はほとんどなされてこなかった。
 本研究では、ミアン生産村におけるミアン林管理の現状を把握・解析し、社会経済の変化がそれらの管理に及ぼした影響を明らかする。

これは、「東南アジアの自然と農業研究会」第114回定例研究会です。

問い合わせ先:

星川圭介 総合地球環境学研究所
Tel. 075-229-6155 / e-mail: hoshi@chikyu.ac.jp

田中耕司 京都大学東南アジア研究センター
Tel. 075-753-7307 / e-mail: kjtanaka@cseas.kyoto-u.ac.jp

 
 
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