近年の情報通信技術(ICT)の進歩に伴い、人文・社会・自然各分野の諸学においても情報技術を利用した多様な研究が進められ、数多くの成果が挙げられています。これら諸学への情報技術の応用は、いまや人文・社会・自然各分野の諸学問との学際領域を形成する広領域の一分野としての情報学(Informatics)として発展してきています。
一方、地域研究は、自然生態・環境、人類生態、社会・歴史・文化、経済・政治など人文・社会・自然各分野の諸学問のすべてを包摂しています。これらの研究の中で、地理情報システム(GIS: Geographical Information System)やリモートセンシング(RS: Remote Sensing)の活用に見られるように、情報学を積極的に採り入れた先駆的な研究もありますが、まだ十分な実例・経験・研究成果が蓄積されているとは言い難い現状です。今後の研究活動の中で情報学が地域研究に新たなアプローチや知見を与え、地域研究への応用を通じて情報学のさらなる展開をリードするよう研究活動を進展させていくことが必要です。
京都大学東南アジア研究所と地域研究コンソーシアム・地域情報学研究会は、こうした地域研究と情報学の現状を鑑み、「地域情報学(Area Informatics)」を創出、構築することが課題だと考えています。そこで地域情報学シンポジウムを開催して、情報通信技術を利用した地域研究の事例や研究成果を持ちより、「地域情報学」の構築に向けた経験交流を行うとともに、その体系について討論を深め、地域研究と情報学のコラボレーションと融合を目指します。
第1回地域情報学シンポジウムは、「地域研究におけるGIS/RSの可能性」をテーマにして、東南アジア地域における先進的なGIS/RS技術の現状や課題、可能性などについて議論します。また、本シンポジウムは、タイ国アジア工科大学(Asian Institute of Technology)先端技術専攻及び京都大学学術情報メディアセンターの協力を得て、インターネットの双方向ビデオ会議・遠隔講義システムを利用したシンポジウムとして企画しており、タイ国AIT・京都大学間(参照http://www.dec.ait.ac.th/main/about/network.html)における初めてのビデオ会議の実証実験を兼ねるものです。 |