研究会
「ヒマラヤ・チベットの文化地理 ―人間地生態史の観点から―」


発表者: 月原敏博(福井大学)
日時: 2005年3月29日(火) 16:00〜18:00
場所: 京都大学東南アジア研究所 東棟2階セミナー室

ヒマラヤとチベットの文化や社会経済は、地理的にはどのような現象と理解できるのか? これについて,ここ20年ほどの間に発表者が見聞きし、考えてきたことを話す。

チベット人の定義を広くとると、チベット高原の周縁部にあたるヒマラヤの南斜面から雲南・四川との接境地帯に至るベルト状の地域も、その大部分は「チベット人」の世界である。そこでは、裸大麦の灌漑耕作やヤク・ヒツジ牧畜で特徴づけられる中央・西チベットとは異なる地形・気候と環境利用が広く分布するが、吐蕃以前の「チベット文化」を想定すると、この縁辺部の方が古くにはむしろコアエリアであった可能性すらある。

多様な環境に適応しえた「チベット人」の環境利用技術の特徴とその柔軟性・安定性は、どのように説明可能か? 社会の統合をもたらした空間は、どのような地形的・生態的特徴をもっていたか? 農牧業や交通の発達と人口の移動・拡散は、森林や移動牧畜にこれまでどのような変化を引き起こし、また今後引き起こしうるのか? こうした疑問点を軸とし、農耕・牧畜という環境利用技術と、地形・森林と人口の関係からする開拓史にとくに注意を払いながら、講述する。

 

問い合わせ先:
山田勇 yamada@cseas.kyoto-u.ac.jp
平田昌弘 masa@obihiro.ac.jp

 
 
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