研究会
第17回「農村開発における地域性」


  
日時: 2007年3月30日(金) 13:30〜17:30
場所:京都大学東南アジア研究所 東棟2階第1教室(207号)
テーマ:アジアの農村開発の新しい可能性

下記のとおり、第17回「農村開発における地域性」共同研究会を開催致します。今回のテーマは、「アジアの農村開発の新しい可能性」というテーマのもとに、3名の方に話題提供を行っていただきます。

バングラデシュのグラミン銀行とユヌースさんが、ノーベル平和賞を昨年受賞されました。このことは様々な意味で象徴的であるという気がします。その一つが、経済開発としての農村開発アプローチの一つの到達点であるということではないでしょうか。貧困問題解決にとって経済開発は最優先の課題であるには違いありませんが、日本が経験したように、その陰で、環境や生態資源の問題、地域の文化や住民の誇り、などが農村開発の外で議論されてしまいました。日本の 1950年代後半から70年代の急激な過疎化問題は、この問題を抜きに考えることはできないでしょう。農村開発は、村人の主体的試みに学び、彼ら、彼女らとともに、暮らしの問題を考え、村で生きていく誇りを再生していくことと考えるならば、これらの問題は、経済開発同様に重要な点であることに気がつきます。村で暮らそうとすれば、環境や文化あっての経済活動であるからです。「村に住みつづけよう」と村人が思える村が、農村開発の土台であったはずです。私たちは、この視点から、農村開発の新しい可能性を模索し始めています。

安野さんは、昨年後半から今年のはじめにかけて、パキスタンの地震被災地でNGOが行う復興プログラムに参加されました。大西さんは、亀岡モデルとしての 農村振興のヒントをつかむべく、インド・アッサム州の世界遺産と指定されているブラマプトラ川氾濫原に展開する無柵のアジア一角犀(ライノ)の里であるカ ジランガ国立公園の取組を調査されています。矢嶋さんは、ラオス国立大学農学部とラオスのNGOであるPADETCと協同して、JICAの草の根技術協力 事業へ応募ために、計画つくりの調整を現地で行っています。

3名の方の現場からの発言を題材に、参加者のみなさんと、「アジアの農村開発の新しい可能性」について議論していきたいと願っています。尚、研究会終了後 には、軽い懇親会を行います。出席できる方は、安藤(ando@cseas.kyoto-u.ac.jp)まで連絡いただけると幸いです。

1.「趣旨説明―村で暮らす楽しみと誇りの大切さー」
安藤和雄(京大東南アジア研究所)
2.「災害支援における開発性と地域性−パキスタン地震被災者支援の事例−」
安野修(京大東南アジア研究所)
3.「地域振興としてのエコミュージアム〜インドアッサム州カジランガ国立公園の可能性〜」
大西信弘(京都学園大学バイオ環境学部)
4.「村の文化資料館活動−暮らしとアイデンティを学ぶ教室−」
矢嶋吉司(京大東南アジア研究所)


[連絡先]
安藤和雄(CSEAS)
 
 
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