研究会 「タイ産高級米ジャスミン・ライスとガーデン・ライスの輸出と品質問題」

日時: 2002年11月15日(金) 16:00〜18:00
会場: 京都大学東南アジア研究センター 東棟2F

話題提供者: 宮田敏之(天理大学国際文化学部タイ学科)

現在、タイ産のジャスミン・ライスは世界的に有名な高級米としての評価を得ている。タイは世界一の米輸出大国であると同時に、高級米の輸出でも有名である。しかし、こうした高級米の伝統は、戦前にも確認できる。戦前期にタイから輸出された米は、当時の輸出・精米業者の間では、一般にガーデン・ライス(カーオ・ナー・スアン)と呼ばれる移植米であった。現在のジャスミン・ライスと直接的な連続性は確認できないが、戦前期にもアジア市場だけではなく、欧米の米市場でもこのガーデン・ライスはその品質が高く評価されていたという。ところが、1920年代後半、世界市場で評価されていたはずのガーデン・ライスの欧米向け輸出が一時停止するという事態が生じた。 本報告は、この1920年代後半の欧米向け米輸出停止の背景として、欧州の米ディーラー、バンコクの欧米系商社や華僑系精米所が問題とした米の「品質低下=低級米の混入」を取り上げ、タイ米輸出の発展と米の品質との密接な関係を検証したい。あわせて、「低級米の混入」という点では現在のタイ産ジャスミン・ライスも同じ問題を抱えている点にも触れてみたい。
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