21世紀COEラオス・フィールド・ステーション
スタディ・ツアー報告書
(2005年2月11日〜12日) |
小坂康之 (東南アジア地域研究専攻) |
サワンナケート県農林局における海外研究会(増原氏の報告参照)に引き続き、ラオス農村の生態資源と土地利用の現場見学を目的としたスタディ・ツアーが行われた。参加者は、京大ASAFAS教員2名(岩田明久助教授、竹田晋也助教授)、京大ASAFAS院生4名(アフリカ地域研究専攻の黒崎龍悟さんと白石壮一郎さん、東南アジア地域研究専攻の木口由香さんと私)、京大文学部院生1名(中辻亨さん)、サワンナケート県農林局員1名(Mr. Petsamay)であった。日程は2日間にわたり、ラオス中部からタイ東北部にかけて移動した。まず2005年2月11日にサワンナケート市街からチャンポン郡ゲンコク村へ移動、同郡農林局を訪問後、同郡バーク村を訪問した。翌12日、同郡ターレオ村を訪問後、サワンナケート市街へ戻り、メコン川を渡ってタイのムクダハンへ移動した。そしてムクダハンからウボンラーチャターニーにかけて車中よりタイ東北部の土地利用を見学し、ウボンラーチャターニーで解散した。
スタディ・ツアーの対象としたチャンポン郡は、167カ村、人口86,612人、面積84,400haを有し、サワンナケート県内で最も大きな郡の一つである。そして今回訪問したバーク村とターレオ村は、同郡の郡庁所在地であるゲンコク村より、約6km離れている。
まず11日に訪れたバーク村は、人口1862人、400年の歴史を持つラオ族の村である。同村において、開村時に東北タイから移住してきた歴史や現在の生業に関するインタビューのほか、土地利用の見学(写真1)を行った。12日に訪れたターレオ村は、人口821人、17世紀に開かれたといわれるプータイ族の村である。同村において、現在の生業や開村にまつわる伝説について村長さんからお話をうかがった(写真2)。
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写真1. バーク村での土地利用見学の様子。 |
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写真2. ターレオ村で村長さんから
歓迎の焼酎をいただいているところ。 |
またサワンナケート県市街とチャンポン郡ゲンコク村において、朝の露天市場で販売されている産物を見学した(写真3)。
最後に、ラオスとタイの国境であるメコン川に建設中の橋を見学し(写真4)、また車中よりタイ東北部の土地利用を観察した。2006年に完成予定であるこの橋の建設には、日本のODAも関与している。一般的にタイ東北部はラオス中部と比較してインフラの整備や換金作物の導入が進んでいることから、この橋の建設がラオス側の土地利用へなんらかの影響を与えることが予想された。
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写真3. ゲンコク村の朝市で乾季の産物を見学。 |
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写真4. メコン川に建設中の橋。
タイ側よりラオス(対岸)を写した。 |
今回のスタディ・ツアーは短期間であり、また事前の準備も十分とはいえなかった。しかし以下の3点において有意義であったと考えられる。第1に、さまざまな地域や分野を調査対象としている人達が一緒に行動することで、新しい視点や情報を得ることができた。第2に、今後ゲンコク村で現地の方達を中心としたワークショップを行う予定であり、今回の研究会とスタディ・ツアーはその前段階に位置付けられた。そして第3に、メコン川の橋建設前後におけるラオス中部とタイ東北部の土地利用変化の追跡が、今後の研究テーマの一つとして重要であることが確認された。
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