「はじめてつくる自分の家」 金子守恵(21COE研究員)
エチオピア西南部の高地に住むアリの人びとのあいだでは、男の子が14〜5歳をすぎると、父の家を出て自分の家を建て、そこで寝起きをするようになります。私が師事していた女性土器職人の息子ニガト(写真中央)も、父から畑の一角をもらい、ユーカリの木とソルガムの桿を使って自分の家をつくりはじめました。ときどき兄のヲンドゥ(写真右)に手伝ってもらいながら、1〜2週間ほどで、大黒柱を立て、壁と屋根の一部をつくりました。
アリの人びとは、家の大きさを表わすのに、肘から指先までの長さをキンディと呼んで、それを単位として家の直径を測ります。ニガトの家は、キンディ12の家で、どちらかというと小さい家の部類にはいります。
「本当は壁に窓をつけたい」といいながら、ベッドや机をどこに置くつもりかを説明してくれたニガトは、もちろん独身です。「家ができたら、今度はお嫁さんをさがしに行くんだ」とうれしそうに語ってくれました。