第35号(2006年6月配信)「メルマガ写真館」

「帰ってきたラクダ」 孫暁剛 (学振外国人特別研究員)

「おかあさん、ラクダが帰ってきたよ!」大声で叫びながら3歳のディバユちゃんが家にむかってダッシュ。

遊牧民というと、いつも家畜と一緒に暮らしていると思われがちだが、僕が調査している北ケニアの乾燥地域では、集落を町の近くにつくって年寄りや子供が住み、一方では若者たちが家畜をつれて牧草と水を求めて長旅します。一年のうちに雨が降るのは2ヵ月ほどで、家畜はそのときだけ集落に帰ってきます。

家畜が帰ってくると、いつも閑疎な集落は急に賑やかになります。ラクダが鳴き子供が叫び、婦人たちはあわてて乳搾り用の容器を準備し、長老たちは久しぶりに帰ってくる自分の家畜を見に囲いへ急ぎます。家畜をながめる人々の目には、希望が満ちています。

 「アジア・アフリカ地域研究情報マガジン」
 
21世紀COEプログラム「世界を先導する総合的地域研究拠点の形成」 HOME