第36号(2006年7月配信)「メルマガ写真館」

「廃墟」 石坂晋哉 (東南アジア地域研究専攻)

北インドのヒマラヤ山麓では現在、インド最大の河川ガンガー(ガンジス)上流に、世界第6位の堤高をもつ大規模なテーリー・ダムが建設されています。このダムが完成すると、この地方の中心として栄えた古都テーリーは、ダム湖の底に水没します。

写真は2004年12月のテーリーの様子です。ここは数年前までテーリーのメインストリートで、道の両側にはずらりと商店が並び活況を呈していました。住民の立退きは、1980年代に始まったもののダム建設反対運動もあって2004年7月にやっと完了したところです。写真で、家々が壊されているのは、立退いた住人が戻ってこないように当局が順々に破壊してきたからです。街路樹は伐られて薪にされました。

テーリー・ダムの完成によって、首都デリーなどの電力不足・飲料水不足が若干改善されることが期待されています。

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