「スーフィー教団の若き師匠」 新井一寛 (東南アジア地域研究専攻)
この写真は、スーフィー教団の宗教実践において、次期教団師匠候補である23歳のハサンが手拍子によって指揮をとっている様子を撮影したものです。
私がハサンに出会ったのは、初めてエジプトで現地調査を行った2001年の夏でした。私は、当時18歳だった彼に、筆者が履くアディダスやナイキの靴を興味深く見つめる、裕福で少しわがままな、どこにでもいそうな少年という印象を受けました。ところが、彼は次期師匠に任命されてからは、幼さを残しながらも、若さに満ちた気概にあふれ、落ち着きのある風格をだんだんと備え始めました。
私はこの変化に興味をもち、カメラで彼の姿を長年撮影し続けたいと思いました。それによって、彼に人々を惹きつける魅力が備わっていく変容過程を記録できると思ったのです。