「見習僧の見習い」 吉田香世子 (東南アジア地域研究専攻)
私が調査を行ったラオス北部の農村では伝統的に上座仏教が信奉され、男子が12歳を過ぎると見習僧として出家する慣習があります。出家する2週間ほど前から少年たちは寺院に通い、僧侶や先輩の見習僧から読経の手ほどきを受けるとともに修行生活の心構えを諭されます。彼らにとってはこれが「大人」への第一歩。恥ずかしそうに、しかし誇らしげに、髪と眉を落とした直後の顔を見せてくれました。
しかし近年、村で出家したあと、ほとんどの見習僧は学業を続けるために都会の寺院へ移るようになっています。彼らが高い教育を受け、「いい仕事」に就いて「いい暮らし」をすることは、送り出す家族の切実な願いです。
とはいえ本人たちは単に都会へ行くことが嬉しいようで、全くといっていいほど屈託がありません。
「行ってみなくちゃ、どんなところか分からないだろう?」
2005年に出家した見習僧は全部で12名。翌年までに、全員が首都ヴィエンチャンへと出て行きました。私を「姉」と慕ってくれた彼らの成長と、その将来を今後も見守っていきたいと思います。