報告
エチオピア・フィールド・ステーション(EFS)活動報告 No.1
「2005年10-12月の活動概要及びCOE研究員の個別研究」
金子守恵 (21世紀COE研究員)

2005年10月から12月までのエチオピア・フィールド・ステーション(EFS)の活動概要とCOE研究員の個別研究について報告します。11月5日から11月25日までの日程でエチオピアに渡航しました。

1. EFS関連の活動
  1)ASAFAS教員・院生の調査研究
  ASAFAS助教授・重田眞義は調査と臨地教育のため11月の1ヶ月間エチオピアを訪れました。ASAFAS院生では、ベル・アサンテ(平成14度入学)が9月から11月まで、宮田寛章(平成17年度入学)が11月から、伊藤義将(平成15年度入学)が12月からエチオピアの各地域で調査を行っています。(写真1)

  2)EFS・南オモ・サブ・ステーションの利用状況
  エチオピアで調査研究活動をおこなっているASAFAS院生や研究員が、調査やセミナーの準備、データ整理、調査具等の備品の保管場所、ディスカッションの場としてEFSや南オモ・サブ・ステーションを活用しています。

  3)セミナー・スタディ・ツアー
  EFSでは、2003年10月にエチオピア国際ワークショップを開催して以来、アジスアベバや南オモ地域においてセミナーとスタディ・ツアーを毎年おこなってきました。11月13日から20日のあいだに、南オモ・サブ・ステーションを拠点にしながら、周辺地域のスタディ・ツアーをおこないました。

  4)EFSおよび南オモ・サブ・ステーションの管理・運営
  EFSの備品を、ASAFAS教員や院生が円滑に利用・管理するために備品リストを作成し、ステーションを利用する教員や院生に配信しました。またエチオピアの電話番号帯の変更にともなって、頻繁に利用する電話番号リストを更新し教員・院生に配信しました。南オモ・サブ・ステーションの壁面の補修作業をはじめました。また、サブ・ステーションのネットワーク整備をおこないました。

  5) メールマガジンの配信を開始
  エチオピアで調査研究をおこなっている院生や研究員が中心になって、メールマガジンを不定期に配信しはじめました。このメールマガジンでは、院生や研究員によるフィールド便り、フィールド・ステーションの活動、エチオピアに関する現地情報、そしてエチオピアに関する書籍やイベントの紹介などの情報を発信しています。バックナンバーの閲覧やメールマガジンの登録はEFSホームページでおこなえます。 http://areainfo.asafas.kyoto-u.ac.jp/efs/j/magazine.html

2. 研究協力体制の推進

  アジスアベバ大学エチオピア研究所

  • ベル・アサンテ(平成14度入学)と金子守恵(COE研究員)は、エチオピア研究所において研究者登録の更新をおこなうと同時にこれまでの研究成果を提出しました。宮田寛章(平成17度入学)も同研究所において新規の研究者登録をおこないました。
  • 来年度からエチオピア研究所が大学院生向けの講座を開設するにあたり、重田眞義はセミナーや現地教育支援・協力をおこなうことを合意しました。

  アジスアベバ大学社会学部

  • 重田眞義は、平成15年度から、同大学院修士課程の学生が修士論文作成のために実施するフィールドワークを、EFSを通じて支援しています。平成17年度も3名の修士課程の院生に対して支援を行いました。
  • 重田眞義は、平成18年度4月から同学部学部長を客員教員として3ヶ月間招聘する手続きをすすめました。

写真2:マーケットで客が職人と土器の値段を交渉しているところ
3. COE研究員の調査研究

  

これまで、エチオピア西南部に暮らすアリ女性職人の土器づくりの技術や伝承等について調査をおこなってきました。今回は、交換物としての土器に注目し、主にマーケットでのやりとり、価格交渉等について調査をすすめました。
  11月13日から11月20日までのあいだ、おもにマーケットでのもののやりとりについて調査をおこないました。マーケットにおいて、販売品、売り手の性別、販売価格等について記録をおこないました。この調査は2001年から断続的におこなっています。そのなかでも、生鮮食品と土器に関して定点観測をおこなっています。この4年間のあいだ、販売品におおきな変化は見いだされませんでした。生鮮食品の売り手はそのほとんどが女性で、これについても4年間のあいだにおおきな変化は見いだされませんでした。土器販売は、4年前と同様、女性職人の割合が半数以上と高く、夫と一緒に販売している場合は2〜3割程度でした。
  生鮮食品は、10セント(日本円にして約1.5円)をひとつの単位にして販売されています。これは1980年代からほとんど変化がないことが確認できています(重田私信)。一方、土器や鉄製品などの加工品や家畜などは、交渉によって価格が変動します。2001年から続けている土器の価格調査と照らし合わせると、高さ20センチメートルほどの土器が1個約1ブルと、4年前のこの時期(乾季)とほとんど価格の変化はありませんでした。
  価格調査をおこなったものは、アリの地域内を流通しているものがほとんどです。生鮮食品や土器の価格にほとんど変化がないことの背景として、主食作物としてのエンセーテが持続的にマーケットに供給、流通されていることが大きく影響していることが考えられました。(写真2)

 

 

報告 >>No.2

 
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