報告
ラオス・フィールド・ステーション(LFS)活動報告(平成16年度No.2)
−動き出したラオス国立大学林学部ハーバリウムの整備支援−
増原善之 (21世紀COE研究員)

(1)ラオス国立大学林学部ハーバリウム(植物標本室)整備に対する支援
  人間文化研究機構・総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の総合的研究」(代表:秋道智彌教授)の研究班の一つである「森林・農業班」は、森林や農業に生活基盤をおく諸集団の生態、経済、社会・文化の動態についてラオス北部を中心に調査・研究を進めるかたわら、ラオスの林学研究を推進するためにラオス国立大学林学部と共同してハーバリウムの整備を進めている。同学部内に事務所を構えるLFSとしてもハーバリウムの重要性を考慮し、本年度より全面的な支援を開始したところである。
  2004年8月から9月にかけて、森林・農業班のメンバーである鹿児島大学総合研究博物館助教授・落合雪野氏が林学部を来訪され, 乾燥機や標本貼り機の設置、林学部教職員を対象とする植物標本製作講習会、ハーバリウム開設および標本製作に必要な諸物品(標本ケース、同収納フレーム、作業台および標本台紙、スピーシス・カバー、ジーナス・カバーなど)の収集・作成、整備などが行われた。LFSは落合氏の活動が円滑に行われるよう、ラオス側カウンターパートと緊密な連絡を取り合うとともに、物品の現地での調達などにつき便宜を図った。

植物標本製作講習会の模様
(左:落合雪野氏(左端)と林学部教職員、右:標本貼り機使用方法の説明)

  落合氏のご尽力により、ラオス国立大学林学部ハーバリウムが開設に向けて動き出したわけであるが、今後、LFSとしても内外の大学・研究機関および民間財団などと連携しつつ、植物標本の収集促進や植物分類学の専門家育成などに対して支援を行っていきたいと考えている。

《ラオスにおける臨地調査で植物標本の収集をなさる皆様へ》
ラオス国立大学林学部ハーバリウムへも是非ご寄贈いただけますようお願い申し上げます

 

(2)研究者・院生の臨地調査活動に対する支援
  LFSでは臨地調査のために来訪した研究者・院生等に対して適宜、必要とされる支援を行っている。2004年5〜10月におけるLFS来訪者は次の通り。

調査期間 氏名(所属) 調査内容(調査地)
6月16〜23日 加藤真 ( 京都大学大学院人間・環境学研究科 教授 )
小坂康之 (ASAFAS 大学院生 )
川北篤 ( 京都大学大学院人間・環境学研究科 大学院生 )
送粉生態学、リーフマイナーの調査
(Vientiane, Tha Khek, Lak Xao)
9月18日〜10月4日 広田勲(京都大学大学院農学研究科 大学院生) ラオス北部における農業生態システムの植生回復力
(Udomxay県La, Namo郡)

 

加藤真教授他の臨地調査
山地常緑林での調査風景
(Bolikhamxay県・ベトナム国境付近)
石灰岩地帯の田植え風景
(Bolikhamxay県・Lakxao近郊)

 

広田勲さんの臨地調査
焼畑休閑地の景観
(UdomXay県La郡Houay Phee村)
焼畑休閑林内での有用植物調査
(UdomXay県Namo郡Mai natao村)
塩井戸の調査風景
(UdomXay県Namo郡Khouang村)
土壌断面の調査風景
(UdomXay県Namo郡Ay村)

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