2004年
10月号

  秋になって、台風、地震と災害に見舞われる日本列島です。これらの災害地の様子をテレビなどで見るにつけ、被災者の方々にお見舞いを申し上げるとともに、このプログラムではアジア、アフリカの各地に大勢の院生、教員がフィールドワークに出かけていますが、これまでのところ事故もなく無事、研究・教育が進行しているのはとても有難いことだと思います。今後ともに、大胆かつ細心の注意をもってプログラムの活動を進めていきましょう。

  10月の執行会議が 21日にありました。なんといっても今回の会議におけるもっとも重要な報告は、あと10日に迫った大学院生ワークショップ(WS)、「京都ワークショップ」についてです。 WS企画グループの委員長から、追い込みの準備状況が報告されました。広報活動との関係でポスター・チラシ・発表要旨集の配布状況、 WSと平行して開催される写真展、予算執行状況、レセプション、 WSの成果の扱い、などについてです。

  院生たちがフィールドで撮ってきた写真を中心に展示する写真展は、今回初めて執行会議に報告されたもので、院生中心で企画されているWSが日増しに大きく成長している様を象徴しているかのような派生イベントです。 WSの当初予算は300万円でしたが、各セッションの事前打ち合わせなどの経費があり、全体的に予算が逼迫していることから、発表者2名を招く費用が不足することが見込まれ、この分を地域研究コンソーシアムに申請したところ、幸い認められたということです。国内におけるレセプションの費用については規則上プログラムから支援することができず、今回のように院生を参加者の主体とするWSにとっては頭の痛い話です。これについては教員に応分の負担を依頼し、院生の参加費を低く設定するよう努力しよう、ということになりました。

  21世紀COEプログラムによる院生WSあるいは若手研究者WSというのは、他のプログラムでもたくさん企画されています。しかし、今回のように、企画立案から実施にいたるまで院生主体に推進されたものは、おそらくこれまで存在しないといってよいでしょう。その結果がどのようになるかは蓋を開けてみないとわかりませんが、このような企画を実現したということだけでも、企画グループのメンバーに執行会議から大きな拍手とお礼の言葉を贈りたいと思います。

  広報部会の報告としては、いよいよ差し迫った日本語ホームページ(HP)表紙の大幅改定の概要が紹介されました。表紙からの入り口を「もっと知りたい!フィールドワーク」と「21COE 概要」の二本立てとし、前者は一般向けで、たとえばアフリカに興味のある高校生等にもアピールできるもの、というのをコンセプトとした、他方、後者は、たとえば学振の担当者等、 COEの詳細が知りたい人向けで、 COE の概要、組織図、役割分担などの情報に繋がるようにする、というものです。

  広報部会から、さらに、 HPを一層充実するために、ファイルサーバーやマック・コンピューターの購入と、院生がHP用に自分で作業ができるよう、院生専用の画像処理用PCの設置が望ましい、などの提案がありました。提案は予算を伴うものであり、また「学振的」にいえばプログラム中間年度以後の機器の購入はかならずしも望ましくないようなのですが、 HPはわたしたちのプログラムの顔であり、広報部会の提案が実現されるよう、執行会議としても積極的に検討することになりました。広報部会ならびにHP維持に従事している事務補佐の人の活発な活動にたいしても、執行会議から拍手と感謝です。

  他の報告としては、 ASCOM が始動したことと、アフリカ地域研究資料収集のための予算 690万円について、他所からの予算措置が確定したため、これを一度事務局に返還し、あらためて300万円の配分を申請したい、との申し出がありました。先の広報部会からの提案もありますし、この件については、他の要望の申請を待って、来月の執行会議で検討することになりました。

  西アジア・フィールド・ステーションからは、アラビア語の雑誌文献目録のシリーズ第2巻が刊行されたことが報告されました。アラビア語を解さない執行会議メンバーの1人は、回覧された目録を逆さまにして見ていましたが、 5月の「執行会議だより」でも伝えましたように、これまで類書が存在せず、関係者には非常に貴重かつ役に立つ目録だと紹介されました。

  今月の議題としては、まず、事務局メンバーの交代、人事異動に伴うケニア・フィールド・ステーション(FS)の担当教員の追加、 FS後期派遣学生の決定(アジア3名、アフリカ8名)が承認されました。これまで会議に出なかった新しい話題に、国別留学制度情報や調査許可制度情報をHPに載せたらどうかというものがあります。いろいろ意見が出ましたが、最終的には、この件はむしろ ASAFASで検討してもらった方がよいだろうということになり、 ASAFASネットワーク委員会に伝えられることになりました。プログラムのネットワーク部会からは、FS活動のデータベース化の一環として、FS派遣院生からフィールドに関する写真の提供を求めたいとの提案がなされました。 FSに派遣された教員にも同様の要望を行い、提出を義務として受け取ってもらうことで、会議では承認されました。写真を提供する方はなにかと大変ですが、データベース化が進めばプログラム関係者であるなしにかかわらず非常に有用なものになりますので、是非協力をお願いしたいと思います。

  最後の議題は、ケニアFS派遣院生によって資料収集・編集された原稿の出版助成にかかわるものです。東アフリカ、ケニアのサンブル社会の身体装飾に関するもので、装飾品を図・写真で例示し、解説を付したものです。ケニアFSとして是非出版助成をお願いしたい、というものです。先月の執行会議で認められた、ヴェトナムの海藻図鑑に続く図鑑・資料集の出版助成の案件です。今後同様の申請がどれほど予想されるのか、 185万円という予算の問題などがありますが、プログラムとしては前向きに考え、他の要望事項とも絡めて来月の執行会議で検討することになりました。

  というわけで、プログラム立ち上げ時の予算配分も大変でしたが、 5ヵ年プログラムの中間年の半分を過ぎ、一部で事業活動拡大の計画が見られ、他では成果を形にしたいとの動きがある中で、プログラム開始当初とは違った意味で、これからは予算配分における思慮・工夫が必要とされそうです。(文責=加藤)

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