2004年
11月号

  定例の第3木曜日、18日に11月の執行会議が開催されました。10月末の大学院生ワークショップの終了を待ちかねるようにして教員たちがフィールドワークに出発したということでしょうか、今月の執行会議には外国出張中の人が目立ちました。総勢6名が会議に欠席です。

  報告事項の最初は、その大学院生ワークショップ、京都ワークショップ(WS)についてでした。10月30日〜31日に、京都大学百周年時計台記念館で開催されたこと、両日のWS参加新規登録者は、初日が160人、二日目が120人で大変盛会であったことが、WS企画グループの委員長から報告されました。参加者は圧倒的に大学院生で、旅費を節約するため、遠路九州などから夜行バスでやってきた学生もいたとのことです。また、他大学教員、一般、新聞社、出版社の人の参加もあり、WSが済んで数日後に、出版社から連絡を受けた院生発表者もいたようです。ちなみに、初日夜に開催された懇親会にも多数の院生が参加し、注文した料理や飲み物が足りるのか、主催者側はやきもきしました。

  先月の「執行会議だより」では、これまで例を見ないWS ―企画立案から実施にいたるまで院生主体に推進されてきたWS― の結果がどのようになるかは、蓋を開けてみないとわからないと書きました。一部のサブ・セッションが研究発表公聴会のようになってしまったこと、フロアからの教員のコメントが時にお説教的トーンになっていたことなど、反省すべき点もありましたが、参加者の数や熱気ということでいえば、決して手前味噌でなく、WSは大成功だったと思います。逆にいえば、ASAFASの院生だけでなく、フィールドワークについて悩み、フィールドワークのあり方に関心を持つ学生が他にもたくさんいるということでしょう。あとで、このような企画を今後も是非続けて欲しいという声を、院生だけでなく、他大学の教員からも聞いたということでした。この要望にどのように応えるかは別にして、WS時にアンケートに応答してくれた86人のなかにWS成果の出版を望む人が多くおり、まずはこの可能性について検討してみたいというのが、企画グループ委員長の話でした。

  WSは結果的に若干赤字となりましたが、成果が積極的に評価され、これについての批判は執行会議ではまったく出ませんでした。

  報告事項の二つ目は、来年度開催予定の国際会議についてです。京大国際シンポとして申請していたものについて、11月1日に大学本部でヒアリングがあり、その後、これについて条件つき採択でもよいか、本部から打診があったということです。ひとつは予算にかかわるもので、1200万円の申請に対して、800万円への減額、そして来年11月開催予定の日程を、他の月に動かして欲しいというものでした。この条件を受け入れることについては、国際シンポWGの委員長からすでに本部に連絡しており、これは執行会議でも了承されました。最近の本部の国際戦略として、京大の研究教育の将来的国際展開において上海、バンコク、米国シリコンバレーの重点化が計画されており、その意味からも、このシンポをバンコクで開催することが重要となります。京大の資金とCOE予算の併用により、来年度の国際シンポジウム開催の目途が立ちましたので、いよいよこれから拡大WSを立ち上げ、より具体的な案を練っていくことになります。

  もうひとつ重要な報告事項は広報委員会からのものでした。かねてから予告していた、日本語HP表紙の大幅刷新が11月10日に公開されたとの報告です。入り口を一般向けの「もっと知りたい!フィールドワーク」とフォーマルな「21世紀COE 概要」に分け、とくに前者に関していろいろな工夫を凝らしたものです。たとえば、「もっと知りたい」から入ると世界地図の下に「今年度進行中のフィールドワーク」と「過去のフィールドワーク」が出てくるのですが、これらを選ぶと、それぞれのあとについている飛行機とスーツケースが動くというように、まさに「こだわりの一品」です。「もっと知りたい」はASAFASのHP表紙にリンクされており、COE終了後も教員・院生の新フィールドワーク情報をアップロードし、「もっと知りたい!フィールドワーク」を将来的にも維持・管理していって欲しいとのリーダーの言葉でした。これは、統合情報化センターの活動とも関係してくる可能性があり、これをどのように実現していくかは今後の検討課題です。

  フィールド・ステーション(FS)部門関係では、昨年度末に議論されたFSの選別と重点化について、今年度末までに結論を出す必要があること、そして、FSの年次報告を来年3月末までにまとめる必要があることが報告されました。また、今年度末にヤンゴンとラオスにおいて国際研究会を開催する予定がありますが、その予算について来月の執行会議までに成果等推進部会で検討されることも報告されました。

  重要な審議事項は、先月の会議から持ち越されました、アフリカ地域研究資料購入関係でプログラムに返還された690万円の使途についてでした。最終的に、広報部会から申請のあった機器類の購入、ケニアFSから申請のあった出版助成、アフリカ関連資料の追加購入などのすべてが認められました。合算すると690万円を越えて約200万円の赤字となるのですが、これは事務局予備費から補填することで了承されました。

  というわけで、プログラムも3年目の後半に入り、予算の使用について、メリハリをつけながら柔軟に対応できる態勢が整いつつあります。

  早いもので、今年ももうじき12月。12月の会議は、定例会議日にリーダーも事務局長も日本にいない可能性があり、1週間早い8日の開催となりました。会議中止という意見もあったのですが、12月といえば、そろそろ来年度の予算編成を考え始める時期で、やはり開催しようということになりました。本当に、一年の経つのが早いですね。(文責=加藤)

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