2005年
1月号

  酉年最初の会議が定例の第3木曜日、1月20日に開催されました。昨年最後の会議は12月8日でしたが、このふたつの会議のあいだの12月26日に、周知のようにスマトラ沖大地震とインド洋津波が起こり、発生から1ヵ月後の1月25日現在、死者・行方不明者の数は約30万人にのぼると推計されています。地震と津波の被害を受けたインド洋沿岸諸地域は、わたしたち2つの部局の構成員が長いこと関わりをもってきた地域であり、それだけに被災地の人々の現在に深く心が痛みます。被害を受けた地域の方々に心よりお見舞いを申し上げます。

  会議で話題となったことのひとつも災害に関するものでした。両部局の教員・院生のなかには地震・津波時に被害の出た国に滞在していた人が十数人いましたが、幸い全員の無事が確認されたことが報告されました。

  今月の報告事項には重要事項がふたつありました。ひとつは各フィールド・ステーションからの活動報告です。年次報告をまとめる前段階として、今年度のこれまでの活動、そして今後の活動予定についての報告がありました。フィールドサイトに小屋を数軒建て、フィールドワークの基地としているもの、提携大学に研究スペースを借用し、地元の研究者・学生も利用可能な図書資料を整備しているものなど、その活動形態は様々です。年度内の大きな予定としては、ラオスとミャンマーのフィールド・ステーションで開催されるワークショップがあります。これらのワークショップには、地域間比較の芽を育てる意図を込めて、西アジアやアフリカで研究をしている教員ないし院生を派遣することも報告されています。

  もうひとつは、今年の11月にバンコクで開催予定の国際シンポジウムについてです。企画・実施はASAFASとCSEASが担当し、京都大学の複数部局の教員の参加のもとに、京都大学国際シンポジウムという冠をつけて開催されます。資金的には京都大学の予算を主に、21世紀COEプログラムの予算を従にして開催されます。シンポジウムのテーマは「地球・地域・人間の共生―野外科学の地平から」 です。スマトラ沖地震があり、また出席予定の尾池和夫総長がたまたま地震学者であるところから、地震・災害についてのセッションをひとつ設ける計画があることが報告されました。残りのセッションの内容、出席者、ポスターセッション、スタディツアーなどについてもおいおい検討していくことになります。

  広報部会の報告として、映像・動画をホームページに掲載する態勢が整い、すでに院生の研究資料が掲載されたということです。今後は、ホームページ上における映像・動画資料の充実化を図るために、教員・院生の積極的な参加を呼びかけていく予定です。ファイルサーバーの購入や、ホームページのカウンターを「もっと知りたい!フィールドワーク」のページにも付けることを検討中であること等も報告されました。

  予算関係では、今年度の執行状況についての報告があり、また来年度の予算案が審議されました。後者については、交付内定額がまだわかりませんので、大枠の議論に留まらざるをえません。この段階ですでに数百万の赤字が想定され、内定通知があったあと、再度予算案の調整をすることになります。すでに決定している新年度予算の大きな変更点としては、アフリカのフィールド・ステーションの2ないし3に、COE研究員枠を設けることです。アフリカ部会ではCOE研究員の有無によってFS間の差異化を図っていきます。

  もうひとつの重要な審議事項は、来年度の執行体制です。リーダーが3月で京都大学を退任することから、リーダーの交代を含む新執行体制が検討され、了承されました。4月からは新しい舵取りのもとで、プログラムの更なる飛躍が期待されます。

  更なる飛躍といえば、地域間比較の視点をプログラムにいかに組み入れるかについて、フィールド・ステーション部門から問題提議がされました。地域横断的な活動を盛り込もうというものです。いずれも予算を必要とするもので、すぐに決定するというわけにはいきません。しかし、5年プログラムも最後の2年に入ろうとしており、継続性を保つとともに新たな試みに着手するのであれば、まさに今を除いてはありません。この件は交付内定通知を横に睨みながら、どのように実現できるかを考えていくことになります。

  5年プロジェクトというのは、やはり長丁場です。時間が経つとともに息切れがし、活動もルーティン化しかねません。その意味では、中間評価の辛い採点を多とし、フィールド・ステーション部門から問題定義がなされたように、これを跳躍台としてプログラムの活性化を図っていきたいものだと思います。(文責=加藤)

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