2006年
1月号

  1月20日に開催された今年最初の執行会議では、まず予算の執行状況についての報告がありました。各部門・部会に配分されていた予算はおおむね順調に執行されているようですが、事務局で預かっていた予備費の使途について各部会からの希望を募ったところ、予算額の3−4倍の希望が寄せられました。残された予備費については、執行会議での審議を経て配分されることになりました。次に、昨年末に21世紀プログラム委員会から寄せられたアンケート、及びプログラムに関係するデータ提供に関する説明がありました。これは、21世紀プログラムに関する自己点検・自己評価に必要なデータの提供を要請されたものですが、このなかで、本プログラムにおける教育の成果として特筆すべきものを1点あげることになっています。我々の拠点では、平成16年3月に本研究科を修了した中島岳志氏の著作「中村屋のボース」をあげることにしました。中島氏は、インドの独立運動家であり、「日本のカレーの父」と呼ばれたラース・ビハーリー・ボース(R. B. Bose)と日本人らの交流を描いたこの著作によって、昨年12月に第17回アジア・太平洋賞の大賞を受賞し、また、本年1月には大佛次郎論壇賞をあわせて受賞しました。アジア・太平洋賞の大賞受賞者としては、これまでの最年少だということです。

  報告ではまた、来年度に開催される国際シンポジウムとサテライト・ワークショップの準備状況についての報告がありました。1月末に締め切りを予定しているサテライト・ワークショップの募集については、大学院生、若手研究者等から予想以上に多くの企画が寄せられる見込みであることが準備委員長の太田教授から報告され、それらの選別方法について意見が交わされました。さらに、広報部会からはHPの更新状況が報告されたほか、バンコク国際シンポのあとに実施されたスタディ・ツアーの報告とビデオ画像の一部を、あらたに「地域間比較」のコーナーを設けてHPに掲載する計画、及び、前述の中島氏の著作をはじめ、プログラム関係者による著作を紹介するコーナーを設けるという案が紹介されました。報告に関するその他の事項では、最終年度を迎えるにあたってプログラムの支援要員(非常勤職員等)の配置について意見が交わされました。

  審議事項では、予備費の使途について、各部会からでていた要望の選別が行われました。来年度に大幅な削減が予定される図書予算の追加をはじめ、HP掲載記事の一部英文化、FSの維持費、FSで開催されるワークショップの補助、最終年度シンポジウムの準備経費などに予備費を配分することが認められました。また、来年度予算については、まだ交付内定通知がきていないものの、昨年度とほぼ同じ額を想定して、予算編成の準備をすすめることになりました。来年度の予算は、最終年度のシンポジウム及びそれに関連したワークショップの開催、成果刊行等の経費に重点的に配分することが決まりました。とくに成果刊行に関しては、大学院生・若手研究者による論文を20編ほど集め、それらを主体とする「アジア・アフリカ地域研究」の特集号を組むことが提案され、そのための準備に入ることが承認されました。また、昨年のバンコク国際シンポで発表された英語論文のうち、本プログラムに関連するものをまとめて出版することも了承されました。

  5年間の本プログラムもいよいよ今年は最終年度に入ります。この5年間の実績によって、ポストCOEの展開が左右されるということを肝に銘じて、ますますこのプログラムを盛り立てて行きたいと思います。 (文責=市川)

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