ミャンマー・フィールド・ステーション活動報告(5)
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大西信弘 (21世紀COE研究員) |
(1) フィールドでの研究/教育 マウービンでの調査(2004年6月)
これまでの継続調査。SEAMEOのスタッフ、ヤンゴン大学の大学院生らとマウービンの農村調査をおこなった。現地で、それぞれの学生の調査に同行し、現状把握と、今後の研究の方向性に関して検討した。
1. 土地改良とそれに伴う飲料水問題
村落を回り、水質の調査ならびに、飲料水に関わる問題を聞き取り調査した。日本のNGOなどが管井を作っている村もあるが、井戸の水質は好ましいとされておらず、乾季等著しい水不足の場合のみに利用されていた。好まれているのは、クリークの水で、ここは、水浴び、洗濯等さまざまな用途に利用される生活用水である。クリークの水位が下がる乾季には池の水も利用される。この地域は数年前までは、土地改良(湿地の耕地化)によるクリークの水量の減少によって、コレラに悩まされていた地域であった。しかし、現在は、保健省からの衛生指導(飲料水の煮沸利用)、コレラ患者発生後の患者の隔離、家屋等の消毒によって、予防、蔓延防止に効果を上げているとのこと。周年を通した水質のモニタリングを継続中。
2. 水田漁労/魚類生態
利用されている魚種、漁法等の概要が明らかになりつつあるので、魚類の生態と漁労の関係を明らかにするため、定期的なサンプリングを始めた。そのために、サンプリング方法、サンプリング場所などを検討した。
3. 屋敷林調査
引き続き、屋敷林の利用について周年を通した利用スケジュール、利用樹種等の調査を行っている。
(2) 日本の大学機関との連絡/交渉
FSを立ち上げた年には、あまり無かった事務的な取り次ぎの仕事が増えてきた。FSの存在がそれなりに知られてきたようでうれしい限りである。今後も、ヤンゴンFSがミャンマー、日本の大学院生・研究者の窓口として機能していけるようやっていきたい。
(3)共同研究関連
1. 東南アジア研究所の速水洋子さんが今年度からSEAMEOと新しいプロジェクトを立ち上げるに際し、SEAMEOとの連絡並びに交渉を行った。
2. 東南アジア研究所の松林公蔵さんの医療調査チームの調査許可についてSEAMEOと連絡並びに交渉。
3. 京都大学霊長類研究所の濱田穣さんらのヤンゴン大学動物学科との共同研究の立ち上げ。濱田さんが8月にヤンゴン大学を訪ねて、共同研究の立ち上げについてヤンゴン大学動物学科との話し合いに同席した。今後、MOU締結に向けて進めていくことが確認された。
(4)留学関連
1.
SEAMEOのアドバイザーであるニニミンさんの招へい(JSPS, 外国人招へい研究者(短期))について、受け入れ先の京都大学東南アジア研究所との連絡並びに交渉。
2.文部科学省、研究留学生、オーンマーミンさんの留学受け入れ先、大阪市立大学大学院理学研究科との連絡並びに交渉。彼女はこれまで、イラワジ川流域でコイ科魚類について研究を行ってきた。今後は、魚類の行動/生態分野の研究を深めたいという希望があったので、大阪市立大学の動物社会学研究室の幸田正典さんと相談し、受け入れを承諾いただいた。文部科学省の審査に通れば、後期博士課程入試を経て、日本で研究を行う予定。
3.文部科学省、研究留学生、スーミョートゥエさんの留学受け入れ先として、京都大学大学院医学研究科との連絡並びに交渉。彼女は、現在、ミャンマーの水産局で食品の品質管理に関する仕事に従事している。そこで、来日の暁には、食品衛生に関する研究を続けられるよう、京都大学の西渕光昭さんと相談し、受け入れを承諾いただいた。文部科学省の審査に通れば、後期博士課程入試を経て、日本で研究を行う予定。
(5)学位関連
1.ヤンゴン大学植物学科講師ウィンミンさんの学位の審査に、愛媛大学大学院農学研究科の百瀬邦泰さんが諮問にあたる上で、ヤンゴン大学植物学科と手続きならびに交渉を仲介した。
(6)その他
1.東京大学大学院人文社会系研究科、桜井由躬雄さんのゼミで組織されているアジア農村研究会(英名The Association for Asian Village
Studies)がミャンマーのスタディツアーを計画しており、そのカウンターパートとしてSEAMEOとのコンタクトのサポートをした。
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